【WT】唯我尊に生まれましたけども2【出水寄り】 (ページ11)

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60本当に作れるとは思ってなかったんですけどもページ11

あのやりとりをして以降、三輪さんが元々優しかったのにさらに優しくなった…挨拶してくれるし、時間の余裕がある時は雑談までしてくれる。

夜遅くに僕を見かけると体の心配までしてくれて…って、あれ？僕の『優しい人』の基準、低過ぎ…？

いや、なんだろう、長年あのクソ親父しか見てこなかったから比較対象がクソだとみんな良い人に思えるんだね…そういうことだね…たぶん。

それでも、三輪さんが時々笑ってくれるようになった変化は本当に嬉しい。
いつもピリピリしてキリッとしていた三輪さんも格好良くて尊敬していたけれど、やはりそれじゃ肩が凝ると思うから。

今思えば年上の三輪さんになんか偉そうなこと言ってしまった気がする、けど、あくまで僕個人の考えって予防線を張って話したし…大丈夫だよね？

そんなことを思いつつ、僕は開発室を訪れていた。

鬼怒田さんを見つけ、駆け寄る。

「鬼怒田さん、おはようございます！例の件、許可おりましたか？」

「おぉ！尊くん、おはよう、そんなに焦らんでも大丈夫だ、ほら、あそこの空いている研究室で自由に試してみてみると良い」

鬼怒田さんが笑顔でIDカードを渡してくれる。

鬼怒田さんとは僕にサイドエフェクトが無いか調べてもらっているうちに仲良くなった。
というか、僕を見て遠くの娘さんを思い出すらしい…男の子なのにすまんなと謝られたが、正直、僕も鬼怒田さんみたいなお父さんが欲しかったですとつい言ってしまった。

それ以降、何かあると甘やかしてくれる。
…娘さんも、寂しいだろうな…こんなに良いお父さんが遠くで働いてるなんて。

そして、今回お願いしたのは、トリガーの改造を自分でさせてほしいというものだった。
ボーダーのエンジニアの皆さんは優秀だ。けして、侮っているわけではない。
でも、僕も5歳の頃…母が死んでから、『このレベル』の教育は受けてきた。

そして、自分の要望を伝えて作ってもらうには、少し負い目もあった。
A級チームに上がったわけではなく、A級チームに入ったからA級…。
そんな僕が、いきなり難題なリクエストをするなんて…うん、へタレにできるわけない。

そこで思いついた妥協案。

人に頼めないなら、自分で作れば良いじゃない！計画。

前々からボーダーの技術は大手スポンサーとして少し学ばせてもらっていたし、可能性がないわけじゃない。

とりあえずは挑戦！ダメで元々、だ！