【WT】唯我尊に生まれましたけども2【出水寄り】 (ページ2)

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(忍田真史視点)

そろそろ尊君を太刀川隊へスカウトしようという会議中、太刀川が隊長の俺が行くと張り切るのを、出水が俺の方が交流あるんで！と止めに入り、誰がスカウトに行くか少し揉めた。

結果、2人の本気のじゃんけんで出水が勝った。この時の出水の晴れやかな笑顔とガッツポーズに、そういえば仲の良い後輩先輩という関係だった事を思い出す。

可愛い後輩を自分が誘いたいという気持ちはなんとなくわかる気もしたので、出水に任せる事となった。

そして、今日、尊君が太刀川隊の作戦室に来て一通りの自己紹介を終え、新しいトリガーを受け取っていた。
感動したように両手で出水から受け取る姿はやはり微笑ましい。

「ほら、早くトリガー起動してみろって！」

「ま、ま、待ってくださいっ、こ、心の準備が…っ……ひっひっふー！」

「それは間違った呼吸法だねぇ～」

「それなんすか？」

…太刀川は一般常識すらないのか…？そして尊君は大分緊張しているようだ。

震える手でトリガーを握り、起動する。

尊君の服装が、太刀川の隊服…黒のロングコートに変わった。

「わ、わぁああ…た、隊服だぁ…わぁあ…！」

「あっはは！一々喜び過ぎ！
似合ってるぜ～尊！」

出水がぐしゃぐしゃと尊君の頭を撫でる。

「なんかお前が着ると全然イメージ違うな」

「太刀川さん…？それって僕、褒められてます？貶されてます？」

太刀川が細っ！と言いながらトリオン体になった尊君の体を触ったりコートをめくったりする。

…絵面的に不味い気がするのは何故だろう。

「そうだ、尊君、折角の入隊祝いだ、何か希望とかはないか？」

正直、ボーダーのためにここまで尽くしてくれている尊君に何か少しでも返したい。

尊君は恐れ多いです！と慌てたが、そう言わずにと言えば、少し考えてから口を開いた。

「あ、あの…嫌でしたら、構わないんですけど…皆さんには『たける』ではなく『みこと』と呼んでいただけたら、その…嬉しい、です…」

「そんな事で良いのかい？」

むしろ、それぐらいいつ言ってくれても良い事だった。

「なんで『みこと』なんだ？」

太刀川の言葉に、尊くんは少し視線を彷徨わせ、大した話では、ないんですけど…といいよどむ。

「言えねぇ感じ？」

「そうではないんです！ただ本当に、自分のワガママというか心が狭いというか…」

尊くんは少しコートの裾をいじってから、意を決した様に口を開いた。