幼女専用レンタルかれし。【五条悟】

03:ぼっちがふたり。 ページ3

.




「お前はさ、家にいるときなにやってんの」




今日も来てくれたのは、レンタルかれしの悟くん。

おべんきょうがあるからって、とうふ屋さんがくる時間くらいにしか来れないんだって。





『お母さんが買ってくれたごほん読んでます』

「あぁ、その年齢なら絵本とかか。オススメとかあんの」

『シートンどうぶつき』

「お前ホントに小2？」






なんかうたがわれたので、去年の通知表を悟くんに見せてあげる。

なのに、「小2だってことは分かってんだよ」なんて言うから頭の中はぐるぐるでいっぱいになる。







「俺の知ってるその歳のクソガキなんてウジ虫みてぇにミ〇ケにひっついてた筈なんだけど」

『おともだちを虫さんにたとえたらダメだと思います』

「ガキの純粋な正論、割と胸に刺さるからやめてくんね？」






泣いてるのはおともだちだと思うのに、悟くんには虫さんと人を気遣う心が欠けているみたい。なんでこのお兄ちゃんレンタルかれしをやってこれたんだろう。






「あと飯だけど、今日いくら渡されてんの」

『今日はひぐちさん』

「それお前一人じゃ絶対使い切れない金額だろ。親の金銭感覚狂ってんのか」

『あまったら貯金してます。あと人の親をわるく言っちゃダメだと思います』

「うわなんも言い返せねぇ」





悟くんをレンタルするお金は、そうやって貯めてきたお金から出してる。

お母さんはいつもわたしに、「うちは裕福だからお金のことはきにしないでいいのよ」って言うけれど、その”ゆうふく”はお母さんの気まぐれで変わることも知っているから。





ぜったいにムダ使いしないってきめているの。





悟くんの”とくべつレンタル料”は、のぐちさん1枚でいいって言われる。

でも、悟くんはおうちに来るときいつもなにかを買ってきてくれる。だから利益なんてないと思う。






それを言っても、「金のことを気にするガキなんていない」とだけ言って、また別の日も買ってくる。



悟くんも”ゆうふく”なのかもしれない。そうだったらいいな。









『....悟くん、ほぼまいにち来てくれるけど、おともだちとかおしごとはないんですか』

「誰が仕事放ったらかしにしてガキと戯れるロリコン野郎だって？」

『顔についてるおみみはそれかざりものなの？』






どうやら悟くんはぼっちらしい。

04:まっくろくろすけ。→←02:でんわとめいし。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す