16話 ページ17
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Aは何か期待するように言葉を待った。何に期待をしているのか、彼女自身ですらわからなかったが心のどこかで"何か"を条野に期待していた。
だが、条野の口から出てきたものはAの期待とは違った物だった。
「そうですか」
Aはきょとんとした顔をした後、息を少し吐いて、笑った。「可哀想ですね」なんて言葉を期待していたのだろうか。彼女の本心は誰にも分からない。
「今のどこが可笑しかったんです」
「ううん、貴方が面白かったんじゃないの。自分が面白かっただけなの」
未だ笑っているAに軽く呆れつつ、彼女の心音を聞いていた。柵から解き放たれたように本心から笑っているようだった。
「私ね、まだ処分されるわけにはいかないんだ」
先ほどまでとは違って嬉しそうに笑みを浮かべていた。その瞳に条野の姿を映しながら言葉を続けた。
「海、行きたいから」
「...あぁ、云ってましたよね」
"あの時"の言葉を条野は思い出した。部屋を出るときに云っていた言葉。叶えるのには簡単なようで彼女にとっては難しい願い。
「お仕事頑張って、外への外出許可が出たらさ。連れていってね」
ちゃら、と鎖がずれる音がした。Aは条野の服の裾を引っ張り、強請るように云う。そんな行動に条野は眉をひそめたが「良い」といったのは自分だったことを思い出し、何も云えなくなった。
「はぁ...良いですよ、許可が下りたらですけどね」
「ほんと！？」
「えぇ」
花が咲いたように明るくなった。そんな彼女を感じ取ったのか、どこか呆れたように条野も笑みを浮かべる。
条野が口を開こうとしたとき、この部屋の扉の向こうから条野を呼ぶ声が聞こえてきた。
『条野様、お時間です』
「...えぇ」
そう云って静かに立ち上がる。Aは何も云わなかった。云えなかったの方が正しいだろうか。彼が"面会"として会いに来たことは理解していたからだ。
だが、だれとも会話できない生活の中で条野が来てくれたことが堪らなく嬉しかった。
「ねぇ」
Aは立ち上がり、真っ直ぐ条野を見つめる。
「海、連れていってね」
条野は振り返らなかった。だが「分かってますよ」とだけ返事をして部屋を出ていった。
誰かと約束をするなどAには久しぶりで、簡単な口約束が嬉しかったのだ。
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「決定なのか？」
部屋に福地の声が部屋に響いた。その言葉に坂口は頷いて返す。
「はい。特一級危険異能者、七種Aは
---"処分"となります」
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続く (更新停止中)
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さくら(プロフ) - 続きが楽しみです！いつでも待ってます！ (9月21日 21時) (
レス) @page17 id: 02ee107128 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん - 続きをゆっくり待ってます！そして主人公はぜひ幸せになってほしいと思いました……！ (8月21日 13時) (レス) id: 5236d3cbfa (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - ぽっぽさん» コメントありがとうございます！頑張って更新させていきますのでよろしくお願いします！！！ (5月13日 23時) (レス) id: 95070418c3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ - 続き待ってます！更新大変だと思いますが頑張ってください！ (5月13日 8時) (レス) @page2 id: 550fd98a77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫陽花 | 作成日時：2023年5月7日 19時
