バレンタインは知っている【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ19)

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男の子ページ19

若武「立花調査員に関しては、以上。次、君たちの報告を聞こう。不良連中の余罪は？」

若武くんに見られた上杉くんと小塚くんは一緒、顔を見合わせる。

小塚「それが・・・」

上杉「何も、ない」

小塚「集団でタバコを吸ってるのを見かけた人は多くて、それに絡んだ小さなトラブルはいくつかあったんだけど、大きな事件は、何も起きてない。僕たちを襲ったのが、おそらく初めての事件だよ」

若武くんが、うめくような声を上げた。

若武「余罪なしか。それじゃ、手がかりゼロじゃん」

その場に、沈痛な沈黙が広がった。

KZの捜査は、行きづまろうとしていたのだった。

若武「じゃ。すげぇやる気を感じさせるスタイルの黒木先生の報告を聞こう」

黒木くんは、ソファの背もたれから身を起こしながら、それまで手に持っていたサングラスを、胸ポケットに差し込んだ。

黒木「結論から言うと、収穫は、ほとんどなしだ」

若武くんは、見るも気の毒なほど落胆した表情になった。

若武「黒木、お前もか。コスプレまでして、なんで成果に結び付けられないんだよ。いったい何やってたんだ」

黒木くんはクスッと笑った。

黒木「不良の上には、暴走族がいる。そしてその上には、暴力団がいるんだ。これが、今の裏社会のヒエラルキー。で、都内東部からこのあたりまでをシマにしている暴走族の総長に会ってきた。そいつに聞けば、この辺の不良のことは、何でもわかるはずなんだ。郷に入れば郷に従えって言うだろ。それでまず外見から、固めてみたんだ、その結果、話が終わって帰ろうとした時、早朝の彼女に誘われた。今夜、付き合ってあげるよって」

ふぅん、最後はまぁいいとして、そこまでして調査してたのかぁ。

でも、私を通じればそんなことしなくてよかったのに。

すると男の子のたちが一斉に深い溜息をもらした。

若武「すげぇ、黒木」

上杉「尊敬する」

小塚「あこがれるよ」

それをみた私はガックリ。

私だけじゃなくて立花さんも呆れていた。

それに黒木くんが誘われた総長の彼女って、きっとカレンのことだ。

カレンは「花蓮」という字を書く。

相当な男好きてイケメンに目がない。

そんな花蓮も私の大切な友達なんだけど、少々面倒ごとを押し付けられることも、しばしば・・・。

その面倒ごとっていうのは、大体が男絡みで私が喧嘩の仲裁に入る役。

今回も波乱の予感しかしない・・・。

私は苦笑いして黒木くんに言った。

A「気をつけてね」

黒木くんはクスッと笑った。