キズナ【イナズマイレブン】 (ページ42)

今日:6 hit、昨日:32 hit、合計:15,347 hit

シゴト03 ページ42

「た、タツヤくんっ！あの、きょ、今日の放課後、屋上のとこの、踊り場に来てください！」

「……えっと、今日は、」

「よろしくお願いします！」

「あっ、待って……行っちゃった」

困ったな。今日は仕事があるのに。でも……すぐ終わると思うし、大丈夫かな。

そんなことを考えていると、一部始終を見ていたらしいリュウジが寄ってきた。

「今日仕事あるんだろ？断らなくてよかったのか？」

「大丈夫さ。すぐに終わるだろうし」

「それでこの前10分くらい時間食ってたよね？」

と言われて、そういえばと思い出す。1ヶ月ほど前、2年生の中で1番かわいいと噂の女の子に何の間違いか告白された。だが、俺はあまりピンと来なかったから断った。

というのは建前で、実は密かに気になっている人がいる。好きなのかどうかはわからない。けど、気づいたら目でその姿を追ってしまう。

まあ、そんなことを言えるわけもないので、興味ない風にして断った。それでもその子はなお食い下がり、リュウジが来たことで終わったのだが。

「もしかして、今回もああいう感じの？」

「そりゃそうだろ。じゃなきゃわざわざ人気ないところに呼び出さないよ」

そうなのか。

俺はどうしようか、と思考を巡らせる。だが、そういうことに疎いと散々彼に言われたから、考えたってしょうがない、と開き直る。

「Aさんとの時間減っちゃうよ？」

「へっ？……ああ、いや、そういう関係じゃないから」

一瞬なんのことかわからなかったが、彼が言わんとすることに気づき、そう言った。

確かに、少し意識してるかもしれないけど。でも、多分一方通行だから。

「せっかく一緒の委員会になれたのにいいのか？」

……頼むからやめてくれ。それに、そういう不純な理由で生活委員になったわけではない。クラス内投票で選ばれた、ただそれだけのことだ。

そう割り切ってみるが、Aさんと同じ委員会になれて嬉しかったのも事実で。

「……その話はもうおしまい。そろそろ教室戻らないと5時間目始まるよ」

名前を出されただけで少しドキッとしてしまった心臓を押さえ、１つ深呼吸してから教室に向かった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊