23話 ページ27
.
それから約１週間が経った。
その日、僕は寝坊してしまった。まあ、朝に弱いっていうのもそうなんだけど、原因は
最近の【仕事】続きだった。
登校時間は当に過ぎていて、もう昼休みだった。ベッドから体を起こすものの、怠く暑い感じで立つことも出来ない。恐らく風邪を引いたのだろう。風邪を引いたのは幼い頃依頼だ。あの時はまだ生きていた母親にお粥を作ってもらっていた。
料理が苦手なサクヤはお粥を作ることもできず、冷蔵庫の中にある栄養ドリンクを半分ほど飲みベッドの中に再び潜り込むと、意識を失った。
次に目が覚めたのは放課後の夕方だった。まだ体は怠いものの、それほど酷くはなかった。飲みかけていた栄養ドリンクを飲もうと、キッチンへと行こうとするとカチャン、と皿がぶつかる音が聞こえた。
反射的に気配を消し【ボックス】から短剣を取り出し、その人物に歩み寄る。そして首筋に当てた。その瞬間、背中を向けていた人物の肩がビクンと跳ね上がった。
「誰だ」
いつもより少し低めの声を出し、警戒する。
「きゃっ……」
この声……もしかして、
「そ、ソフィア？」
短剣を引っ込め、急いで【ボックス】へと仕舞い込む。
「さ、サクヤ君……」
制服を着ていないので彼女とは気が付かなかった。それに、病み上がりなので頭が働かなかった。
「あ、その……ごめん。つい、癖で……」
嫌な沈黙が続き、途切れ途切れに謝る。すると、彼女は口を開いた。内心何を言われるかハラハラしたが、その心配は無用だった。
「サクヤ君、風邪引いているからお粥作ったんだよ。冷めない内に食べてね。」
「へ？あ、うん。」
それはいつかの母親が作ったお粥だった。まだ食欲はないが、渡されたスプーンで一すくいして口に運んだ。
──それは温かくて、優しくて、懐かしの味だった──
喉の奥がツンと熱くなり、それを誤魔化すために夢中に手を動かした。
それを食べた後、市販の魔法薬【風邪薬】を飲まされて無理矢理ベッドに入れられた。今日は【仕事】があるのだが、暫くしてもソフィアは一向にベッドから離れようとはしない。恐らくサクヤが寝るまで一緒にいるのだろう。【仕事】は念話でルナに頼み、仕方なく目を瞑る。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャル♪黒猫大好き人間(プロフ) - ミントさん» ありがとうございます！！私もこの表紙結構気に入ってるんです(笑)更新がんばりますのでこれからもよろしくお願いします(*｀・ω-)ノ (2020年2月28日 23時) (
レス) id: 6e2bf13c08 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - 表紙の蝶とか彼岸花とか凄く好きです！物語も、とても面白いです！更新頑張って下さい！ (2020年2月28日 21時) (レス) id: d935f18f17 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - 月の芋さん» ひ、久しぶりのコメントっ……！(T-T)ありがとうございます！更新は遅い方ですが、これからもよろしくお願いします！(^∇^) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
月の芋 - あぁ！！なんて面白い作品なんだぁぁ！あ、すみません(._. 面白くて好きです！応援してます。続き楽しみにしてます！(`・∀・´ (2019年8月29日 20時) (レス) id: de5541b525 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 今日から新しい時代が始まりました！今時代(？)こそ良いことが起こりますように！そして、この小説で一位をとってみたいなんて、贅沢を言ってみる(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月1日 3時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャル(如月唯奈) | 作成日時：2018年10月24日 1時
