二万哩3 ページ5
「あ、それ奏汰さんのだったんですね」
「はい、しゅうがきれいに『くりーにんぐ』してくれました」
奏汰さんは綺麗になったのを確かめるように折りたたんであった服を豪快に開いて店長にものっそい怒られた。
「まったく…それと奏汰、今度からはもう少し早めに持ってきたまえ。乾いた血を落とすのは面倒なのだよ」
「じぶんでできるとおもったんですけどね…ちあきにばれるとうるさいですし…」
「というか、服ばかり語っていたがそもそも君の怪我は大丈夫なのかね?結構全面的に付着していたと思うのだけれど…」
「あぁ、それならしんぱいいりませんよ。ぜんぶ『かえりち』なので…♪」
………、……なんだろう。
すごく突っ込みたいけれど、この突っ込んだら負けな雰囲気。というか突っ込めない雰囲気。
まあ正義ほど犠牲が多いって昔からよく言うもんな。魔法少女とかも闇深いもんな。
ていうか店長のご友人だもんな、
変で当然だよな。
「A、何をぼーっとしている?」
「あぁいや、なんでもないっす…」
店長から目を逸らすと奏汰さんにくすくすと笑われた。
「じゃあぼくはそろそろおいとましますね」
「まて奏汰、まだ雨が降っている。傘を持っていきたまえ」
「……ひつようありませんよ?」
「君じゃない、服が濡れる」
店長、最初から最後まで服の心配しかしてないな……
「いや、服だけなら傘より何か袋に入れた方がいいか……ちょっと待ってくれ、探してくる」
そう言って店長は店の奥に消えていった。
「………Aさん」
「はい、何でしょう?」
「ヒーローになるきはありませんか?」
「えっ?」
え、ヒーローってそんなスカウトに来るようなものなんだろうか。正義の心を持つものは誰しもがヒーローとかそんな訳ではないんだ。
「さっきはおかねがどうとかいってましたけど……ひとつのものごとにうちこむのはいいことだとおもうんです」
「はあ……」
「なので、ぼくは『おかねのため』というりゆうもわるくはないとおもいます」
つまりやらない善よりやる偽善、というよりかやったもんは全部善、と…まあそれも考え方としてはありっちゃありか。
「なので、Aさん。ぼくといっしょにせいぎのみかたになりませんか?」
「奏汰さん………────────
─────まあ月火水木金土日全部バイトのシフト入ってるんでぶっちゃけ正義の味方とかやってる暇ないっすね!」
思いっきり殴られた。
正義の拳は痛かった。
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐藤(プロフ) - 璃々衣さん» 初めまして、有難いお言葉ありがとうございます!色々と書きたいネタはあるのですがね…もっと更新できるように精進します。これからもよろしくお願いします! (2018年10月31日 18時) (レス) id: 4f2d8f4684 (このIDを非表示/違反報告)
璃々衣(プロフ) - 初めまして。とても素敵なお話で、何周も読みました……!お忙しいとは思われますが、更新楽しみにしております。お体に気をつけて、更新頑張ってください! (2018年10月29日 19時) (レス) id: 6b21f4271d (このIDを非表示/違反報告)
佐藤(プロフ) - こめこさん» コメントありがとうございます…!いやもうそう仰って下さりとても嬉しいです。本当に更新遅くて申し訳ないんですがこれからも読んでいただけると幸いです(_ _) (2018年10月3日 1時) (レス) id: 4f2d8f4684 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 突然のコメント失礼します。作者さまの書かれる独特なリズム感のある日常がかわいくて素敵で、とっても好きです。更新があるたびつい嬉しくなってしまいます〜。これからもひっそり応援させていただきますね (2018年10月1日 21時) (レス) id: daff2d3cef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐藤 | 作成日時:2018年7月21日 21時