恋は街中に降り注いでいる２ (ページ17)

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「玉」

玉は俺たちを見てニッコリと笑った。

「良かった良かった」

「うん。ありがとう」

「太宰さん、宮っちのことよろしくお願いします」

「……はい」

「じゃあね、お二人さん。宮っち今度ワッターかニカの店で奢ってね」

「えっお祝いしてくれないの？」

玉が村田さんと付き合い始めたとき俺奢ったと思うんだけど。

「お祝いするかもしれないけど、宮っちは誰のおかげで今があると思いますか？」

「玉のおかげです」

「ということで。じゃあね」

玉は可愛く去っていった。
玉には敵わないや。

「玉森さんって可愛らしい方ですよね」

「うん。また助けてもらっちゃったな。……中に入ろうか」

店のシャッターを少し開けて彼女を入れる。
シャッターを閉めたらやっと二人きりになれる。
思わず俺はAちゃんを抱きしめた。

「Aちゃん」

「……宮田さん」

「改めて言うけど、俺は君のことが好きです。だから俺と付き合って下さい」

「よろしくお願いします」

顔を見たくなって腕の中を緩めるとAちゃんの可愛い顔が近くにあって。

「キス、するね」

こう言えば君は瞳を閉じるから、俺は唇を近づけて。

たくさんの本に囲まれている中で、Aちゃんに初めてのキスをした―――。

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