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「中内田さん」
「久しぶりだな、北山」
最初は兄弟子の一人、中内田允宜さん。
中内田さんも既に独立されていてご自身の事務所を持たれている。
「服部さんがまさかな……」
「何か服部さんから聞いてませんでした?」
「久々に話したのは師匠の事務所を整理するからって連絡をもらったときで……そうだ、高野さんから連絡はあったかって訊かれた」
「……それで中内田さんは何て?」
「素直にないって返したよ。独立してからあの人と連絡取ってないもん。北山は?」
「俺もないです」
中内田さんは穏やかな気性を感じさせる雰囲気の方だった。
身長は俊くんぐらい。
そして体格はある。
残念ながら心の声は聞こえなかった。
次は弟弟子の音無秀行さん。
現在は探偵会社に勤めているという。
音無さんはみっくんと同じくらいの背格好だった。
「お前も独立すりゃ良かったのに」
「北山さんみたいにパトロンがいなくちゃ無理ですよ」
確かに玉ちゃんの力は偉大だもんねと心の中で同意する。
「それにしても服部さんが……」
「ああ。あの人何か音無に言ってなかったか?」
「一回師匠の事務所に寄ってくれとは言われましたけど……あっ、何かあったら北山さんに言えとは言ってましたね。あと高野さんには気を付けろって」
また高野って人だ。
もっと私はこの人物について知るべきだろうって勘が言っている。
2人の兄弟弟子さんからのお話を聞いた後、事務所に戻る。
私はみっくんに踏み込むことにした。
「A、何か聞こえた?」
「いえ、何も……」
音無さんからも何も聞こえなかった。
本当に私の力は万能じゃない。
「ねえ、高野さってどんな方?」
みっくんは溜め息をついた。
「やっぱりそうなのかなあ」
「やっぱり兄弟子を疑うのは辛い?」
「当たり前だろ。兄弟子が別の兄弟子を殺したかもしれないってさ……」
「でもみっくんは探偵でしょ」
「お前の妙に冷静なところが嫌になるよ」
探偵にしたって刑事にしたって推理する上でもっとも邪魔なのは感情でしょ?
だからみっくんがこの事件と向き合うためにはそれが厄介になる。
「……高野さんはアウトローな方だよ。武術にも秀でてる。だから……」
みっくんは言葉に詰まった。
彼から迷いが感じられたとき俊くんから電話がかかってきた。
直感的にスピーカーにする。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時