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「……一ノ瀬さんは良い子だな」
私の頭をまた先生が撫でる。
その手がとても優しい。
「だから君は時折街に出てたんだね。寂しさを紛らわせるように」
「……そうですね」
家に帰っても誰もいないことの方が多いから、大体一人ぼっちだから、真面目に勉強やその他のことをしても褒めてくれる人がいなくて、そうすれば自己肯定力は下がっていく一方だった。
寂しいから、誰か知らない人の温かさが欲しくて、寂しさを少しでも減らしたくて私は街へ出た。
真面目の反動もあるけど、これが大方の理由だ。
「一ノ瀬さんさ」
先生が私の目線に合わせてしゃがむ。
先生の綺麗な黒目の中に私が映る。
「寂しいときや辛いときは誰かに頼ってよ。君には優しい友達がいるんだし、俺もいるし。頼ってくれたら迷惑じゃないし俺は嬉しいよ」
「はい……」
私が返事をすると、先生は目を細めた。
その微笑みに私の胸はキュンと音を立てた。
――― 一ノ瀬さん。
いつもそう優しく呼んでくれて気遣ってくれて。
いつの間にかそれが嬉しくて甘えてた。
クリスマスイブの夜、いつも魔法をかけてくれるこの人が好きなんだと気付いた―――。
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作者名：ユタカ２ x他1人 | 作成日時：2021年7月6日 11時
