Episode13 【宏光side】 ページ13
視線を彼女に戻すと、ふいに目が合った。
「北山さんって…あの、北山さん…?」
「“あの”ってことは俺のこと知ってくれてるの?」
「はい!あ、でも下の名前とかは知らなくて…。私ったら…なんで気づかなかったんだろう…。本当、ごめんなさい」
彼女は俺の方に体を向けると、深々と頭を下げた。
「いやいや、謝んないでくださいよ。Aさん、何も悪いことしてないでしょ?」
「どこかで見かけたことあるような気がするなって思ってたんですけど…」
「まぁ俺、普段は全然オーラとかないしね」
「そんな!そんなことないです!そうじゃなくて、芸能人の人とか、もっと派手…ていうか、六本木とか麻布とかで飲んでるのかと思ってたから」
「確かにそういう人もいますけどね。でも俺はそういうとこ苦手なんすよ。こういう店の方が落ち着くし」
「もしかして、あの時一緒にいたのって…ニカちゃんですか!!?」
「え?あ、あぁ…そうですけど…。もしかして二階堂のファン…とか?」
嫌な予感が胸をよぎる。
「実は、友達がファンなんです…二階堂くんの。今度ライブに行くって言ってたし」
「あ、お友達がね」
自分でも驚くほど、安堵の声が漏れた。彼女にも気づかれただろうか。
俺のことがバレてしまった以上、きっといろいろと質問攻めにあうんだろうな、という俺の予想はあっけなく打ち消された。
その後も、変わらずとりとめのない話が続いたのだ。
もちろん、仕事の話になれば分からないことを尋ねてくることはあったけれど、必要以上に興味本位で詮索したりしない。
そんな女性は珍しく、俺は更に居心地の良さを感じることになった。
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SaYaKa(プロフ) - yndreamv0mm0vpqさん» コメントありがとうございます!!たくさんドキドキしてもらえるように頑張ります^ ^ (2018年8月2日 7時) (レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
yndreamv0mm0vpq(プロフ) - 今後の展開がすごく気になります。2人はどのようにして再開し、恋に発展して行くのか。ドキドキ。楽しみにしています。 (2018年8月1日 18時) (レス) id: 59b8f94fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2018年7月31日 1時