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師匠から不死川さんが非番だと聞いた私は直ぐに師匠に伝言を頼んだ
『さてさて、夜ご飯でも行こっか!』
累と手をつなぎながら戸惑う玄弥くんを連れて、前にも柱の皆と行ったお店へ向かった
案内された席にはすでに不死川さんがいた
『不死川さん!玄弥くん、前に聞いてたとおりにいい子でしたよ』
不「今更そいつを連れてきて何がしてぇ」
『やっぱし。素直じゃないな…手紙ではあんなに玄弥くんについて色々褒めてたのに、本人を目の前にして突き放すのは優しさじゃないですよ』
とりあえず席について玄弥くんを私の隣に座らせ、累も隣に座らせ適当に料理も頼んだ
静かな時間が流れた
『不死川さん、失った時どうしようもなく後悔しますよ。本当は家族として大事にしてること、話さなきゃ伝わらないです』
不「それだけなら俺は帰る」
玄「兄ちゃん…」
不「お前は弟じゃねぇ」
険悪ムードが強くなっていく2人にため息しか出ない
『兄弟じゃないならそんなに突き放す理由ないじゃないですか。私のことも気遣ってくれるような人が赤の他人を突き放して楽しむような人とは思えないです。鬼に対しての警戒は強くていいと思いますが、身内は大事にしてあげてください』
そう言うと不死川さんはバツが悪そうに下を向いてしまった
『私も、妹が刀を持ったのを見た時、あぁとうとうこの子にまで…って思いました。彼女は刀を振るう筋力もなかったし、そもそも刀を持ったところで変わらず部屋に閉じ込められてたんですけど。妹には戦いを知らないで欲しかった。死を見ずにいて欲しかった』
隣に置いた紫龍をぎゅっと強く握りしめる
ー姉様は私の分幸せになってください
いつか聞いた言葉が頭にこだまする
『結局、自決するのを止めてあげられなかったんですけどね』
不死川さんはおもむろに立ち上がると、玄弥くんの背後にたった
手を上に振り上げ、玄弥くんは次に来るであろう痛みに耐えるべく目をぎゅっと閉じた
累も私に抱きついて隠れた
しかし、私の目に映ったのは暴力ではなかった
優しく頭を撫でる不死川さんの姿だった
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作者名:切人(スランプ中…) | 作成日時:2020年11月12日 12時