Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ15)

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Episode39 -5 ページ15

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裏付けるように、翔さんが言葉を続ける。

「だけど俺にはわかる。亜理紗じゃない」

もう一人。

先ほど翔さん自身が挙げた二宮さんともう一人。

亜理紗ちゃんの笑顔が頭の中にパッと浮かぶ。

「あいつも俺のことが好きだが、いや、うぬぼれじゃなくて…昔っから言ってるんだあいつ、大きくなったら俺と結婚するって。今でも言われる」

翔さんの口元に笑みが浮かんだ。

先ほど、亜理紗ちゃんですら怖かった時期があったと言っていたけれど、二宮さんと同様に亜理紗ちゃんもずっとそばにいた大切な存在なのだろう。

つられるように私も口元がつい緩む。

「でもあいつは違う。だって亜理紗は、俺の運命は百合亜だと思ってたからな」

「！」

そして落とされた言葉にスッと顔から表情が消えた。

幸いにも翔さんは少し目を伏せて話していて私の表情は目に入っていないだろう。

誤魔化す様に、唇を引き結ぶ。

「そう思ってたあいつが百合亜を否定するわけない。だからカズだと思った。それに気づいたあの日、俺はお前に触れることをためらった」

「あっ…」

引き結んでいたはずの唇から思わず声が漏れた。

翔さんが私の顔を見る。

その目はどこか申し訳なさそうな色をしていた。

私を見上げた瞳がすぐに下へと逸れる。

「やっぱり百合亜が運命だったのかもしれない。カズが裏で手を引いているのかもしれない。俺のせいで、お前を傷つけてばかりだ。いろいろなことが渦巻いて、お前を抱いてしまうのが怖かった」

「翔さん…」

「触れたら最後、真っ白なお前を汚してしまうんじゃないかと思った」

聞き間違いかもしれない。

だけど翔さんの声が、微かに震えているような気がして。

私はそっと手を伸ばす。

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