Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ16)

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Episode39 -6 ページ16

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手を重ねたら翔さんがハッとしたように私を見た。

その目にちゃんと私が映って、泣きそうになる。

「……ありがとうございます、翔さん」

「…俺、礼を言われるようなことしてないよ」

「そんなことありません。ずっと…守っていてくれたんですよね」

「……守れたかな、俺」

翔さんの顔がくしゃりと歪んだ。

今日は翔さんの珍しい表情ばかりを見る。

その顔を見ながら私は思い出していた。

翔さんに「カズと二人になるな」と言われたことや、そもそも「朝は送る」と言い出したことなんかを。

翔さんなりに不確かな影から私を守ろうとしてくれていたのだ。

「はい」

だから、私は優しく頷く。

きっと、伝わるはずだから。

「そっか…」

どこか嬉しそうに翔さんが頬を緩める。

けれどそれは一瞬だった。

次の瞬間には、「でも」とまた言葉が続く。

「完全に、やっぱりカズなんだと確信したのはあの徳井って女の言葉だ。言ってただろ、私“は”興味ないって。それはつまり、ほかに興味あるやつがいるってことだ」

言い切って、翔さんは口を噤んだ。

少し斜めに落とされた視線はここではないどこかを見つめているようだった。

「ふぅ…」

翔さんは落ち着かせるみたいに長く、細い息を吐いた。

「これが真相だと俺は思ってるんだけど………なぁ、どこか間違ってるか？カズ」

「え？」

「そこで聞いてんだろ」

二宮さんの名前が出てきたことに驚いて私は翔さんの顔を見る。

けれど翔さんは先ほど二宮さんが出て行ったばかりの病室の扉を見つめていた。

しばしの沈黙を挟んで扉がひとりでに動く。

その向こうから、薄く笑みをたたえた二宮さんが顔を出した。

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