Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ14)

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Episode39 -4 ページ14

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「この時点で俺のホテルとお前の自宅、両方の場所がわかってるのはカズだけだ。消印もなかったから、直接持ってきたってことだろ」

「そういえば…」

私は自分の部屋に届いた茶封筒を思い返した。

いつ来たものか日付で確認できなかったことに今気が付く。

あの時にはそんなことを気にする余裕もなかったけど、翔さんはそんなことを考えていたのか。

改めて賢い人なのだと驚く。

翔さんは、一瞬次の言葉を言うのをためらったように見えた。

けれどすぐに、言葉が滑り出す。

「カズだ、と強く疑念を抱いたのはお前が攫われた時だ」

「理子さんに、ですか？」

「そう。理子さんは伝えてないのに父さんが知ってただろ、お前のこと」

「そうですね」

「理子さんの可能性がないとは言わないが、確かにあの人は俺との約束を破ったことはない。たぶん、お前のことも黙っててくれたはずだ。ならどこから漏れたか。俺たちの関係を知っていて父さんと話ができるような人間は俺の周りに二人しかいない」

「それって」

「カズと亜理紗だ」

今度はためらうことなく言い切る。

「二人のうちお前の自宅と俺のホテルを知っていて、父さんに話をすることができる人物。かつ、お前の行動をある程度把握できる人物が最も怪しい。つまり」

言葉を区切った翔さんが一度息を吸い込んだのが分かった。

「…つまり、お前を自宅まで送ることで場所を把握していて、無条件に俺のホテルの場所を知っていて、自宅まで付き添うためにお前の行動を把握し、かつ常に監視ができる人物。そんなのは、カズだけだ。……それに、徳井のような俺の学生時代を知る相手に声を掛けられるのもカズだけだろうしな」

「…そうですね」

言いながら、私はゆっくり頷いた。

淀みなく告げられる事の真相。

「全部状況証拠から推察できるだけでカズが黒幕だと言い切れるほど強くはない」

翔さんの言う通りだ。

今の話は全てただの想像で、推測の域を出ない。

例えば二宮さんがよくあるミステリなんかのように証拠はあるのかと開き直ればそれまでだ。私たちには目に見える証拠を提示することはできない。

……でも。

きっとこれが真相なのだろう。

なんたって二宮さん自身が、「翔ちゃんのため」だと言っていたのだから。

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