Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ30)

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Episode41 -6 ページ30

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内線で注文を終えた私が振り返った時、そこには上半身裸の翔さんがいた。

「っ、翔さん！」

「ん？あぁ、頼んでくれてありがとな」

「いえ、その……服は…」

「え…あ、悪い。ちょっと着替えようと思って」

私の視線に気が付いたのか翔さんは手にしていたシャツを羽織りなおそうとする。

そこで、私は白い包帯に気が付いた。

「あ、待ってください」

「どうした？俺の裸でも見たいのか」

「え、あのそうじゃなくて！……その、包帯が…」

「あぁ」

翔さんはひょいと腰を捻って自分の傷口を覆う包帯を見た。

白い肌に映える白い包帯。

私は翔さんに近づくと、そっと包帯に覆われた傷を撫でた。

「A…」

「もう、痛くないですか？」

「…あぁ、痛くないよ」

「ごめんなさい、翔さん。私のせいで…」

「またそれか」

呆れたような声が降ってくる。

包帯に触れる私の手首を翔さんの大きな手が掴んだ。

ぐいと引っ張られてつられるように翔さんを見上げる。

手首はまだつかまれたまま、翔さんの視線に絡めとられた。

「何度も言っただろ、あれは俺のせいであってお前のせいじゃない。俺はお前に怪我がなかっただけで満足だ」

強い意志を感じる大きな瞳。

澄んだガラス玉のようで、実は少しだけくすんだ、何かをあきらめた目。

いつも私だけを、映してくれる目。

「…っ、でも」

泣きそうになるのは、翔さんが本当に私のせいで怪我をしたなんて、ほんの僅かも思っていないことが伝わってくるから。

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