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———夜、橘五柳別荘
外では凄い勢いで雨が降っている。あのまま顔から炎が出るんじゃないかと言うほど怒って怒鳴り散らかした橘さんは自室に行ったっきり。
時「橘先生、あれから書斎に籠ったままですよ。」
い「あぁ、もう。参ったなぁ…。」
そんないつきさんを見かねてか剣持さんが金田一くんに謝るよう促す。
一「えぇ？！だって元々悪いのあのエ ロ親父だよ？」
剣「いつき君の為だ。耐え忍ぶのも、人生だぞ。」
不満そうにする金田一くん。あれは橘さんが悪いと私も思う。大人とは面倒なものだ。しかしこのままではいつきさんが可哀想…仕方ない。
ちょいちょいと金田一くんを呼び耳を寄せるよう合図し、小声で話す。
「ね、次の週末焼肉食べに行こ！美雪も誘って。説明すれば叔父さんが奢ってくれるはず。だからとりあえず謝っとこ？」
一「まじ？…行ってくる。書斎ってどこだっけ？」
時「あぁ、そこの階段降りたらダイニングがあるからその突き当たりを出たところ。」
時任さんに書斎の場所を聞いた金田一くんは背中に思いっきり「納得いかないです」の文字を背負ったようにのそのそと向かった。
竜「あ、あの！名前先輩！」
「わ、竜太くんか。びっくりした…」
暫くしても金田一が帰ってこない為飲み物でも…と思って取りに来た時、急に声をかけられびくりと肩を震わせる。
竜「さっき金田一先輩に何言ったんですか？」
「えっと…」
素直に答えるのも良かったけれど"ゆりりん"なんて桂木さんのことを呼んでいる竜太くんに少しだけいじわるしようと考えついてしまった。可愛くない、私。
「…竜太くんには関係ない。"ゆりりん"とお話してたらいいよ。」
竜「え？」
「桂木さんのこと好きなんでしょ？だったら私なんかに構ってないで…」
竜「僕は！」
距離を急に縮め、ガシッと肩を掴まれる。じっとこちらを見つめてくる竜太くん。
竜「僕は名前先輩が好きです！確かにゆり…桂木さんのことをあだ名で呼びましたけど…恋愛感情はありません！」
「は…？」
竜「先輩が僕に笑ってくれると凄くあったかい気持ちになるんです。反対に僕以外の男の人と笑い合ってたり、話したり…そういうの見るとここが苦しいんです。」
竜太くんは自分の心臓の辺りをトントンと叩いて話す。
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作者名：はんぺん | 作成日時：2022年7月29日 11時
