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「…こんな大勢の中で、まさかね？」
今私がいるのはダイナシティ。こんなところで殺人は起きないはず。
おじさんにはやめなさいって言われたけど証拠を集めに【桂木優里奈トークショー&撮影会】に来ている。
投げキスをしたり、笑顔で手を振ったりとサービス精神旺盛で可愛い容姿…竜太くんが「ゆりりん」なんて呼んじゃうのも納得かも。
「あれは…」
ふと上に目を向ければ見たことある後ろ姿。金田一くん、だよね？
金田一くんはどこかに行ってしまったみたいで探すも見つからない。
そんな時だった。
警「いたぞー！」
「あ、いた…」
大勢の警官に追われる金田一くん。どうにかして助けられないかな…
ちょうどこっちに向かって走って来る金田一くん。…どうにでもなれ！
一「頼む！見逃して…え、苗字？！」
「これ着て！」
一「は？」
無理やりに店頭に並んでたパーカーを着させ警官に見つからないように店内に身体を向けさせる。
「美雪じゃないけど怒らないでね？」
一「なっ…？！」
金田一くんの手を握り、これ似合いそー！なんて棒読みで声を出す。後ろで警官が止まったが"金田一は単独犯"という思い込みからすぐに立ち去った。
「はぁ…危なかった…」
一「な、おまっ…え？！何してんだよこんなところで！」
「声がでかい！てか、こっちのセリフなんですけど。美雪に連絡もなしに…」
それはごめん、なんて俯く金田一くん。美雪のこと気にはしてるみたいで安心した。
一「にしてもお前よくあんなの思いついたな。」
「人間の思い込みは利用しろって前に見た映画のスパイが言ってた。」
ニヤッと笑えば助かった、と息を吐く金田一くん。それにしてもどうやってこのモールから出るか…
一「サンキューな苗字。こっからは俺1人で行く。」
「は？どうやって？危ないじゃん！」
一「いーからいーから。気にすんな。」
じゃあな！と人目を避けるように遠ざかっていく金田一くん。
きっと私が共犯だと思われる、とかそんなこと考えてるんだろう。
「ったく、こーんな優しい少年をなんで犯人扱いするかなぁ。」
警「すみません。」
金田一くんが去った方を見ていれば警官に話しかけられドキリと胸が跳ねる。
警「制服の背の高い男子高校生見なかったですか？」
「背の高い…あ！あっちに行きました！」
指差したのは真反対。このくらいは意地悪しても良いよね？
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作者名：はんぺん | 作成日時：2022年7月29日 11時
