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...
「でもね、だんだん寂しくなってきた。誰にも見て貰えないし、名前も呼んでもらえない。まるで、私だけすっぽり世界からなくなったみたいに。...わたしは、ここにいるのに...。」
「死んでから3年間くらいはずっと色々な人に話しかけてたんだ。たまに偶然でこっちを向いてくれたりした時、本当に嬉しかった」
「さみしい、な...」
Aの話を聞いた独歩はぽつりと言った。
でしょ?と笑ったAは、独歩の顔を見つめながら口を開いた。
「でも、独歩がいた!」
「...え?」
「独歩が私を見つけてくれた...あの時、死んでから一番嬉しかった」
独歩は彼らが出会った夜のことを思い出していた。
確かに、あの時の彼女はとてもテンションが高かった。
「死んでから人と話すのなんて初めてで、はしゃぎそうになっちゃった!」
「いや、あれははしゃいでいたな。」
「えぇ?!表にでてた?!恥ずかしっ!」
Aはそう言って笑った。
独歩は、そんな彼女の笑顔が好きだった。
「もっと話したいなって思って、毎日あの電柱のそばにいたんだ!次の日また独歩が来てくれて、よっしゃ!って思ってた」
「...こんな私と話してくれて、ありがとね。」
「そ、そんな...俺の方こそ!俺、Aに色々聞いて貰ってばかりで...楽しく、なかったよな...ごめん、Aに話しかけたのが、俺なんかで...」
お礼を言ったAの言葉に被せるように、独歩は謝罪を口にした。
彼の言葉に、Aはおかしそうに笑った。
ぽかんとしている独歩に、彼女は口を開いた。
「私は、独歩で良かったって思ってる。...私達、似てるんだよね。打たれ弱いところとか。」
「Aも、なのか?」
「うん、まあね〜」
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紺(プロフ) - kai_0998さん» 分かりみがフカヒレ (2019年12月8日 11時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 紺さん» コメントありがとうございます。独歩にはどうしてもメリバエンドを迎えて欲しい気持ちがあります... (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。褒めていただいてとても嬉しいです!楽しく読んでいただけたなら本望です...ありがとうございました (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 独歩おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ (2019年11月30日 12時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すっごい感動しました!この作品を作ってくださってありがとうございます! (2019年11月29日 16時) (レス) id: 6cdcbd2af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai_0998 | 作者ホームページ:http://id52.fm-p.jp/649/kieyuku/
作成日時:2019年11月28日 22時