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多分このぐらいの時刻だろうか

たくさんの生徒から「先生さようなら」と挨拶されて
私もさよならと返す

元気のいい子たちだ


そんな元気な子たちだが、
とある生徒は私を見つけると避けたり俯いたりと
明るいのが取り柄な子が大人しくなる

しかしここは廊下一本道


生徒の数が少なくなり残っている子も限られてくる

大丈夫、大丈夫。そう暗示をかけながら


目的のあの子は男の子と肩を並べて歩いてきてる
楽しそうに話しながら歩いてきてる

彼女は私に気づいた瞬間に
顔を凍ばらせ窓側に体を寄せた



『あっ ごめんなさい』

「いえ、こちらこそすみません」



わざとぶつかって転ぶ振りをする

矢琶羽が大丈夫ですかと心配してくれるが大丈夫よ

だって演技だもの。六条としての知恵は得てるわ


今にも逃げ出す彼女を呼び止めた



『これ落としたよ』

「えっ……それ 私のではない..です」

『いやけど鞄から落ちたの見たし、
きっと誰かがサプライズで入れたんじゃない?』



ほら、ラッピングされてあるし

頑として受け取らない彼女に無理にでも押し付けた

だってこの方法でしか合法的にあげられないじゃん?


中身見てみなよと言い出せば素直に袋を開ける

そこには可愛らしい鞠のヘアゴムが入っていた



「ッ、おくさまっ」

『ごめんなさいね、朱紗丸。遅くなったかしら?』

「そうじゃのう、100年は..ちと遅すぎるかのぅ」



やっと私に笑ってくれた

あぁ泣かないで、泣かないで

怨んでなどいませんの。



「嬉し泣きじゃ」

『それなら良かった』



矢琶羽は何が起こっているかわからない様子

彼に記憶はないのね。
それでもまた一緒にいるってやっぱりいい相性よ


私はあなた達のクラスの授業を持ってないから
あまり関わることはないけれど

あなた達の成長を楽しみにしています



『受験頑張ってね』

「ありがとうのう」

「朱紗丸!先生には敬語を使わんか」

『いいのよ、矢琶羽君も頑張ってね』

「ありがとうございます」



またも「さよなら」と手を振って見送った

最終下校時刻のチャイムは鳴ったから
彼らは走って昇降口へと向かっていった

いいね、青春よ


部活でギリギリまでやって、間に合わなくて先生に
怒られながら帰った学生時代を思い出す

あの時は部活が楽しかったなぁ



「よっ」

『あら、宇隨先生。今日当番ですか』

「まぁな。記憶、戻ったんだな」

『はい』

「…あれはもう二度と勘弁だぜ」

『そうですね。私も嫌ですよ』

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つあ - 鬼と人、どちらもとても素晴らしい作品でした!この作品にとても引き込まれました。この作品を作った作者様の文才に惚れます!! 読んでるとき、とても楽しかったです。素晴らしい時間をありがとうございました!次の作品も楽しみにしていますね! (2020年9月23日 21時) (レス) id: 50e3ee0ebb (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - みづきさん» 作品を見つけ、読んでくださり喜悦しました。他作に連載中のがございますのでそちらも今後も読んでくださると嬉しいです。私の方こそコメントを送っていただきありがとうございます。 (2020年5月4日 1時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - みづきさん» 我ながら結構長いものだと思いますが、全作読んでくださりありがとうございました。私自身も鬼舞辻無惨の夢小説を探してましたが当時は今よりも少なく悲しい思いをしまして、求めるものがないのなら作ってしまおうとこの作品を作りました。同じような事を思った方がこの (2020年5月4日 1時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
みづき - 全作拝読いたしました。鬼舞辻無惨の夢小説が思っていたより少なく、このお話を見つけられて本当に良かったです。涙を堪えながら一気に読み進めてしまいました。素敵な作品、ありがとうございます。 (2020年5月1日 18時) (レス) id: 684920ac9f (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - 美月さん» そう言って頂けると 色々と拘って頑張ったかいがありました。この夢小説が美月さんにとって良い時間となったのなら、この上なく嬉しく思います。こちらこそ、とても長いお話を読んでくださりありがとうございました! (2020年3月27日 23時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こよみ | 作成日時:2020年2月1日 18時

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