64. ページ17
――――今すぐここで、死ぬ?
A「………わかった。大人しく待ってる。」
阿伏兎「……お、おい団長」
私が消え入りそうな小さい声で返事をすると、無表情のまま彼は出口へと歩いていった。
……彼が言っていることは決して間違ってはいない。足でまといは、その名の通り誰かの荷物になってしまうだけだ。最悪、命を落とすことにもなりかねない。
弱い私に出来ることは、ただここで黙って待つこと。それだけだ。
A「……いいの。神威が言ったことは全部本当の事だもの。分かってる。……それより、ちゃんと仕事に集中して。」
阿伏兎「……おう。」
まだ何か言いたげだったが、それ以上は阿伏兎も何も言わなかった。
――未だにまとまりのない団員達を一喝すると、阿伏兎がテキパキと簡単な指示をだしていく。
阿伏兎「もっとギリギリまで接近しろ。まだ攻撃はするなよ。……手が空いている奴は着いてこい。俺の合図で一斉に乗り込む。遅れはとるな。」
阿伏兎の後ろに並んだ団員は、ざっと二十名ほど。そんな少ない人数で、あんな強敵と戦うと言うのか。
……しかし、戸惑っているのは私だけで、ほかの団員はとっくに自分の仕事を始めている。阿伏兎や、彼に着いて行く団員達を信じて、自らの出来ることを、成すべき使命を、全うしている。
――その光景はまるで、ここにお前の居場所なんてない、そう私に告げているように感じて。
それがとても嫌で、逃げるように部屋を去ろうと後ろを向いた時。
阿伏兎「……嬢ちゃん。」
A「………」
ゆっくり振り向くと、鈍い光を放つ、少し濁った瞳と目が合う。
その目がスっと細くなって、目尻にしわが浮かぶ。口元が柔らかく弧を描き、優しい表情で彼は言った。
阿伏兎「お前さんには、一番重要でキツい仕事をやって貰うぜ。……俺達が帰ってくるまで、第七師団を頼む。」
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みるく(プロフ) - 黒狐さん、最後まで本当にありがとうございました〜!感謝です(;Д;)(;Д;) (2018年9月30日 19時) (レス) id: 927439fb4e (このIDを非表示/違反報告)
黒狐(プロフ) - (;∀; )いい話だった………いつか小説、書くことがあれば、見に行きます! (2018年9月30日 13時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - まおさん、ありがとうございます(;Д;)(;Д;)全力で頑張ります! (2018年9月23日 13時) (レス) id: 927439fb4e (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 最高すぎます、一般人とは思えない語彙力でいっつも更新楽しみにしてきました!これからも頑張ってください! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 6f6285bd1e (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 八神さん、ですよね!神威くんかっこ良すぎます……。ありがとうございます、頑張りますね! (2018年9月10日 11時) (レス) id: 927439fb4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2018年8月28日 17時