1．玉狛支部のコミュ障ちゃん【WT】

32話 ページ34

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…レイジさんが面倒を見てくれと言った理由が分かった気がする


『ち、千佳ちゃん…そ、ろそろ、休憩入れよう…？』

「は、はい。すみません…」

『ぁいや！謝らないで！
責めてるみたいな、言い回しした私が、悪い。今のは！！』


千佳ちゃん、私が声かけるまで永遠と狙撃をしているのだ
話に聞いたところ、この子はトリオン量が黒トリガー並みらしく、無限に狙撃ができるらしい
それに加えてこの子の真面目さと努力家なところが合わさった結果がこれだ
…レイジさんが目を離さないわけだ

千佳ちゃんにちょっと待っているよう話し、一旦訓練室を出て水を取ってくる
換装体とはいえ、生身は絶対に喉が渇いている筈だ
ペットボトルをもって部屋に戻り、彼女に換装を解いて水分補給するよう促す


(…にしてもすごいね、これは…)


圧巻、という言葉がお似合いだろうか
目の前には人を模した的が何十個も並んでおり、それら全てに狙撃の痕がくっきりとある
これを永遠としているから、早い段階で狙撃の腕も上がっているのかもしれない


「…あの、有馬先輩」

『ぁ、Aで、いいよ…？』

「はい…Aさん」

『んﾞぐゥ…！』

「？」


やぁばい千佳ちゃんから名前呼ばれるの破壊力あるわ
絶対今変な顔してる、というか変な声出た気がする
ゲホンと咳払いをして誤魔化し、どうしたのか問うてみる

すると


「レイジさんから、Aさんは観察眼が鋭いって聞きました
それは修君も同じことを言っていて…
…今までの私の狙撃を見て、何か意見があったら教えて欲しいんです」

『！』


至極真っ当で、それでいて真面目な質問…というかお願いをされた
…本当、うちの新人は真面目だなぁと苦笑いしてしまう
それに、私は別に観察眼が鋭いとかそういうのは特にない
ただ客観的に物事を捕らえているだけだ

うーん、と考える素振りをして、今までの千佳ちゃんの狙撃を振り返る
私個人としていう事があるとすれば───


『…粘り強さ、と、諦めの悪さ…は、狙撃手にピッタシの、性分だと思う
強いて言うなら、肩の力を抜いてもいい、くらいかな』

「肩の力…」

『あぁ、勘違いさせないように言うと、真面目になりすぎ、ってこと』

「？」


私の言葉の意味が分からない様子で首を傾げる千佳ちゃん
そんな彼女に私はヘラリと笑う


『それで、千佳ちゃんの狙撃手、としての腕を上げるなら、それでいいけど、無意識に体は疲れる、もんなんだよ』


彼女は元から丸い目を更に丸くさせた

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