23話 ページ25
沈黙
短い時間かもしれないけど、私には長くそれが続いている気がしてならない
何か喋らないと、という焦りが余計に沈黙を気まずく感じさせる
いや落ち着け、と思い深呼吸を何回か繰り替えしている時だった
「…お前のペースでいい」
『…へ?』
間抜けな声を漏らしながら三輪先輩を見やる
先程までの怖さはどこか消えていて、眉間に皺の寄っていない先輩の顔があった
「お前の人見知りは1年前まで有名だったからな
今もそれは治ってないんだろう?
だったらお前のペースで話せばいい
この後立て込んだ用事はない」
『…ぁ、はい、ありがとうございます…』
こうやって見ると先輩って顔カッコいいんだよな…なんて余計なことまで考えてしまうくらいには、拍子抜けで落ち着いてしまった
多分三輪先輩が気を遣ってくれたのだろう
申し訳なさと感謝で目を伏せ、私は口を開いた
『ぁ、の、結論から、言ってしまえば…迅さんの考えてること、なんて、わかりません
あの人、いっつもヘラヘラ、してて、自分の考えてることなんか、私達には言わないんで』
『…けど、今日の嵐山さんの話聞いて、何となく納得した部分もありました
自分の背負っている物を、諭されないよう、あんな態度取ってる、んだって』
『あと、同感も…しちゃいました』
「…?」
ここで私は顔を上げ、ヘラっと笑って見せる
ちゃんと笑えてるかどうかわからないけど、三輪先輩の瞳が揺れた
『私も…亡くしてるんです
小2の時、に、交通事故で両親を。4年前の、大規模侵攻で…目の前で友達が…親友が2人、ネイバーに、殺されました』
「ッ!」
三輪先輩の息を呑む音が部屋に響く
それを耳にしてから、私は目を伏せつつ言葉を紡いだ
『元から内気な、性格だったのが、両親を亡くしてから、酷くなって…あの大規模侵攻で、完全に塞ぎ込むように、なりました
両親を亡くして、から高校に上がるまでは、幼馴染の家でお世話に、なってたんですけど…大規模侵攻から1年、不登校でした
これ以上人と関わって、親しい人が増えて、また失くしてしまうことが怖くて…逃げてました』
「…恨まなかったのか、ネイバーを」
『最初は恨みましたよ
…けど、殺したのはトリオン兵だから、恨んでも仕方ないって、思いました
だって相手は兵器…人間じゃない相手に復讐したって、何も昇華されない』
「そのトリオン兵をここに送った人型ネイバーがいるだろう」
次々に出てくる三輪先輩の疑問に、思わず苦笑してしまった
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まんじゅうDX - あっ……待ってめっちゃ好きです。更新応援してます! (2022年3月26日 23時) (レス) @page8 id: b43443e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いな九尾(プロフ) - 返事、ありがとうございます。楽しみにしてます! (2022年3月19日 23時) (レス) id: 7dc257a408 (このIDを非表示/違反報告)
Kk(プロフ) - いな九尾さん» ありがとうございます!機会があればBLEACHの作品を書かせていただきます! (2022年3月19日 18時) (レス) id: 00d7e0ecde (このIDを非表示/違反報告)
いな九尾(プロフ) - 返事、ありがとうございます。残念ですが、Kkさんの作品はどれも面白いのでまた気が向いたらBLEACHの作品を作ってくださると嬉しいです。更新これからも頑張ってください! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 7dc257a408 (このIDを非表示/違反報告)
Kk(プロフ) - いな九尾さん» 初めまして。BLEACHの作品ですが、勝手ながら削除してしまいました。理由としては、単純に長続きしないと判断したためです。なら作るなよって話ですが…楽しみにしていたにもかかわらず、こちらの勝手で申し訳ないです。 (2022年3月19日 10時) (レス) id: 00d7e0ecde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KK | 作成日時:2022年3月18日 23時