1．玉狛支部のコミュ障ちゃん【WT】

20話 ページ22

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三輪先輩達の腕を奪った直後、2つの光が空高く飛んでいくのが見えた
報告によれば風間さんと太刀川さんが緊急脱出したとのこと
主力2人が抜けたことが、この戦いの終わりを示した


「くああ〜負けたか〜
つーか迅さん6対1で勝ったの！？太刀川さん達に！？
黒トリガー半端ねーな」


出水先輩が悔しがるのを他所に、私達は互いにねぎらいの言葉を掛け合う


「嵐山さん見ました？俺の必殺ツインスナイプ」

「あぁ。木虎、賢、有馬、よくやった
充と綾辻もよくやってくれた」

『ぁ、りがとうございます…』

「お疲れ様ですA先輩
最後のマンティス、後で説明してくれますか？」

『藍、顔、怖い…あと、顔、近い…』


ジト目で詰め寄ってくる藍にどうどうと宥めるも、逃げるなと言われ逆効果
…えぇ、これ言わないといけないやつ？
やだなぁ、あとで面倒事になりそうだから余計に
だけど無理な追及は可哀想だから、と嵐山さんがやんわりと止めてくれたことで藍からの追撃は事なきを得た
この3日間、嵐山さんに何度も助けられて有馬さん大号泣です

そんなアホなことを思っていると、出水先輩が私達に話しかけてきた


「5位のチームとB級隊員に一杯食わされたのは腹立つな〜」

「うちの隊はTVや広報の仕事をこなした上での5位なんです
普通の5位と一緒にしないでもらえます？
あと、A先輩はソロランク戦にこそ出ていませんが、実力はA級と引けを取りません
貴方達が勝手に見下した結果とも言えますね」

「相変わらず生意気だな木虎…」


やべぇ、藍の精神が強すぎる
先輩に対するこの態度は強すぎ






「嵐山さん、ネイバーを庇った事をいずれ後悔する時が来るぞ」


戦闘も終わり、元の関係に戻ったと思った矢先に聞こえてきた堅い声
声の主の方へ振り返れば、嵐山さんを睨み見ている三輪先輩がそこにいた


「あんた達は分かってないんだ
家族や友人を殺された人間でなければ、ネイバーの本当の危険さは理解できない
ネイバーを甘く見ている迅は、いつか必ず痛い目を見る
そして、その時にはもう手遅れだ」


三輪先輩の言葉で甦る過去

仲の良かった同級生2人が、ネイバーによって目の前で殺された
血だらけになった親友を抱きかかえる自分
ボーダーの人達が来てくれた後の、親友によって血だらけになった自分の掌
何もできなかった自分の無力さと怒り、悔しさばかりを思い知らされる毎日
その日を境に人との関わりを拒絶し、恐怖した

これ以上大切な人を失いたくない、と

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