1．玉狛支部のコミュ障ちゃん【WT】

19話 ページ21

〈三輪先輩と出水先輩はそうすね
当真さんはバッグワーム着てるから分かんないすけど〉


佐鳥の言葉にフムと考える素振りをする
こんな分かりやすく移動する意味ってあるのか
考えられるとしたら───


「罠ですね。100％私達をつり出す為の誘いです」

「だろうな
けど放っとくわけにはいかない。迅に任された相手だ
綾辻、この辺りの狙撃ポイントを洗い出してくれ」

〈了解しました〉

「賢、木虎、有馬
働いてもらうぞ」


反撃するぞと言わんばかりの嵐山さんの声に、私達はコクリと頷いた



─────────
─────
─



嵐山さんの指示通り、私は三輪先輩と出水先輩を迎撃する公園の木陰で待機していた
視線の先には嵐山さんが待機しているのが見える

暫く待っていると、嵐山さんの読み通り三輪先輩達が現れ、嵐山さんを集中攻撃
それを影から、かつバレないようシールドで防いでいく
といっても手数の多い出水先輩のメテオラは全てを防ぐには敵わず、更に三輪先輩の鉛弾で嵐山先輩の腕まで封じられた

追い打ちをかけようとする三輪先輩達だが、嵐山さんはテレポーターを発動
ここで狙い通りいけば、当真先輩がテレポーターの移動先─視線の方角数十mを狙撃するはず

嵐山さんが移動したその時、公園の向かいにあるマンションから一筋の光が放たれた
耳に装着しているインカムから、当真先輩が緊急脱出したことが報告される

それを聞いた次の瞬間、私はバッグワームを解除し行動を始めた

バッと木陰から飛び出し、左腕を後ろへグッと引く
…“これ”やるの久々だから、上手くいくかな

狙う先は───三輪先輩


『さっきのお返しです、三輪先輩』


ヒュン＿＿＿＿＿＿ズパンッ


「「！？」」


佐鳥の狙撃が三輪先輩の左腕、出水先輩の右腕を掻っ攫ったと同時に、私はスコーピオンで三輪先輩の右腕を奪った
いつものスコーピオンならば、体術を使ったやり方だが、今のは違う

ある程度の中距離でも攻撃可能な───


「おいおい…マジかよ…





何でお前マンティス(・・・・・)使えんだ！？」


出水先輩や三輪先輩が驚くのは無理もない
…だってここで初めて使ったし
それまでは人前で見せたことはなかったから余計に、だ
どうせマトモに答えれるはずがないので、思い切り出水先輩から目を逸らしてスルーしておいた
コンニャロ、とか聞こえてない聞こえてない(おもむろな耳塞ぎ)

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