1．玉狛支部のコミュ障ちゃん【WT】

16話 ページ18

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玉狛に移動する前まで、有馬はそれなりに有名だった
ボーダーきってのコミュ障であり、その時まで唯一だった木崎さんの次に、入隊して2年で完璧万能手となった人物として

誰もが有馬をチームに引き入れようとしていたが、完璧万能手になった途端、あいつはほとんど本部に顔を出さず、ひたすら防衛任務に当たっていたと聞く

人前に出るようならオドオドし、逃げ回っていた印象しかない
それが嫌に目につき、不快感を覚えた
人と関わることを恐れる癖に、なぜ人との関わりが必須となるボーダーに入っているのか、心底分からなかったからだ

そんな奴を、俺は認めていなかった





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＿＿＿＿＿＿＿ガギンッ


金属が交じり合う音が響き渡る
その基となっているのが、俺の持つ弧月とAが腕からの枝刃(ブレンチブレード)によるスコーピオンだ
一撃で力押しするのではなく、二撃、三撃と有馬がスコーピオンを振るい、腕だけでなく、足からもスコーピオンを生やし、足技で猛攻してくる
体術を駆使した戦闘技術には、覚えがあった

こいつのやり方は、あの白髪のネイバーと酷似している
それが余計に俺を苛立たせた


「有馬の奴すげぇなー、あんな身軽な奴早々いねーよ
しかも嵐山さん達の連携と噛み合ってる辺りが嫌なとこだわ」


出水の言っている事に内心同意だ
たったの3日間でこれほどまでに連携が取れる奴がいるだろうか
まるで昔からチームだったかのような錯覚を覚える

フォローの邪魔にならないような立ち回り
出水からの攻撃に関しては、全て嵐山隊に任せる素振り
これらの様子を見て待てよ、とふと思う

それらを鑑みた上で、俺は確信する
嵐山隊が有馬に合わせているんじゃない。有馬が嵐山隊に合わせているのか
その事実に背筋が凍った

真っ直ぐ向かってくる有馬に鉛弾を撃てば紙一重で躱し、どこから拾ってきたか分からない瓦で防がれる
俺の戦り方を知らなければできない芸当だ


「ﾁｯ」

『ヒッ…(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖i(()』


舌打ちしただけでこの怯えよう
だというのに警戒心は解けず、常に俺の動きを観察し続ける
気味が悪い…得体のしれない感覚が、有馬自身が


「…お前、迅の考えをどう思っている」

『へ？』


相手の注意力を削ぐため、滅多にしないが有馬に話しかけた
奴と共通するネタが迅しかないのが苛立つが、それは頭の隅に置く

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