キミの襟足にキスがしたい

３７ ミツside ページ37

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「あれ？ミツ、また来てる。」





やっとこの部屋の居住者が帰ってきた。




玉の部屋に来るも、さっきまでいた玉がいなくてまた合鍵で中へ入ってソファでぼんやり。




･･･帰れねーじゃんだって。
迎えになんて行くんじゃなかった。



元カレとなんかいい感じなわけ？



太輔･･････やべーくらい男前じゃん。
俺の顔タイプだっつってなかった？
全然ちげーんだけど。
背も普通に高くてAちゃんとムカつくくらいお似合いだし。






「どったの？同居人とケンカでもした？」


「･･･別に。でも今日泊めて。」


「いいけど。そろそろ戻る気になったって事？」



「･･････、」





･･････Aちゃん家にいられないなら
本当にもう行き場がない気がして
戻らないといけない気になっちゃうじゃん、





「腹減った、玉、」


「へ？生姜焼きは？」


「うるせー！さっきのピザ残ってねーの？」


「全部食ったし。また注文する？」


「･･････いらね。」






Aちゃんとの時間は今だけのことだ。



Aちゃんに彼氏が出来るのは喜ぶべき事だし
あんなにいっつもやさぐれて酒飲んでて体心配だから幸せになって欲しいし



だから、太輔とよりを戻すのはきっと悪い事じゃ、ない。




でも、




･････じゃあ俺は？




って。




考えちゃうのは思い上がりなんだよな。



しぶしぶ行き場のない俺を住まわせてくれてるだけなんだよ。



Aちゃんにとって俺が特別じゃない事くらいわかってる。



もちろん、俺にとってもAちゃんは女ってより、美人な姉ちゃん的なさ？




でもさー、





「おもしろくない！」


「はい？ピザ取るの？」


「とらねー！！！やっぱ帰る！」





なんか、悪あがきしたくなってきた。



Aちゃんはな、
口は悪いけどほんとはめちゃめちゃ優しいし
バカ笑いするくせに寂しがり屋だしその上すぐ泣くし
そんでもって好きな人の事すぐには忘れらんない一途な人なんだよっ、



美人だけじゃない、可愛らしい人なんだよ･･･、



Aちゃんの喜怒哀楽を俺は常に全力で受け止めてるつもりなんだから。



まだ少ししか一緒にいないけど、それは自信あるんだ。





太輔って野郎がほんとにAちゃんを幸せにしてくれんのか、俺には知る権利があんだ。




「そういやさっきあの綺麗なお姉さんとエレベーター、一緒になったんだ〜」




･･･一人だよな？



俺も帰ろう。

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