キミの襟足にキスがしたい

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「今日、太ちゃんと夕飯食べに行くんです。付き合って一ヶ月記念に。」


「そう。楽しんで行ってきてね。」





同じ課の後輩、森さんは、私の元彼、藤ヶ谷太輔の今カノだ。







三ヶ月前、私とは合わない、と言って振られた。



二年付き合って、合わない、と言われると
もはや諦めるしかない、っていうか
今までずっとそう思われて一緒にいたのか、とか落胆しかなかった。



でもだからと言って太輔にすぐに新しい彼女が出来るなんて考えもしてなかった。



しかも、同じ課とか。





いや、太輔がモテるのは知ってた。
狙ってるの子が沢山いるのだってわかってた。





でも、私と別れて二ヶ月やそこらで次の彼女を選ぶ太輔が･･････



･･･って。



"合わない"っていうのは単なる言い訳で
森さんの方が好きになったからそっちに行っただけかもしれないし。



私よりも五歳も若くて女子力がある森さんの方が誰が見たって魅力的だし。



元々可愛らしい子だったけど
太輔と付き合うようになって更にキラキラと輝いていて眩しいくらいだ。




･･･どっちから、告白したのかな。



あんな可愛い森さんがフリーだったのも驚きだし
森さんの方が元々太輔の事好きだったのかな･･･？



くだらない。
どっちでもいいじゃん、今更。



三十路の私なんてこの年で捨てられたらもうボロ布みたいなものでやけっぱちだ。



モヤモヤとマイナス思考全開で
仕事のやる気もなくなってくるし
同じ課にいる太輔を意識しないように振る舞うだけで毎日の疲労感が半端ない。




太輔との付き合いは社内ではひた隠しにしてたから
私が元カノだなんて知りもしない森さんは
散々ノロケ話を私に聞かせて
念入りにメイク直しをして更衣室から出て行った。









･･････疲れた。







のろのろと着替えて会社の外へ出て冷たい空気に包まれると、一気に寂しくなった。
金曜日の夜、誰かと喋りたくなってスマホを取り出す。



誰を誘って飲みに行こう
そう思ってアドレスをスクロールしてみたけど
誰一人、気軽に誘える友達はいなかった。



ほとんどの子が結婚してるし
唯一の独身の仲良かった子も、彼氏といるだろう、



そう考えると、今日も一人で飲むか、と思い直して
自宅近くのコンビニでお酒を買い漁った。

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