帰ってきた「君のその手に」【完結】

７ 北山side ページ7

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「伊藤さん、最近また色気増してないですか？」


「えー？イトちゃん、これ以上いい女になんなって。」


「やっぱりいい旦那様に愛されてると女は輝けるんですかねぇ？」


「いい旦那かどうかはわかったもんじゃねーけどな、A？」






なんだ、こいつら。
俺が来てもほとんど俺無視でAとばっか喋ってんじゃねーか。


しかも、伊藤やらイトやら･･･！




「おまえらな、イトじゃねーぞ？Aは北山なんだぞ？わかってっか？」



こいつらのやり取りをじっと見てた俺もそろそろ我慢の限界だ。



ようやく声を出した俺を一瞥した藤ヶ谷と相沢
二階堂と足立はそれには答えずまた話し出す。





「つかさ、旦那は優しくしてくれてるわけ？」


「うん、もちろん、優しいよ、ね、宏光？」


「嘘だね、ミツがそもそも優しいわけないじゃん、こき使われてない？イトちゃん、大丈夫？」


「うーん、確かに北山さんの愛情表現って謎なとこありますもんね。」


「うおいっ！おまえらっ、言いたい事好きなだけ言いやがって！」




愛情表現が謎だと？
んなもん、他人に俺の愛情の見せ方とか把握されてたまるかっ。




「うるさい旦那だね、イトちゃん。」


「でも、伊藤さんが北山さんと結婚してくれて私的には本当に良かったですけどね。」





相変わらず藤ヶ谷の腕を取ってる相沢は
なんだか俺とそういう関係だった時とは別人だ。
幸せならなにより。



つかさ、




「だからさ！！言ってんだろ？伊藤じゃねーぞ？北山！き、た、や、ま、なの！」




二度目の訴えに四人はため息を付いて俺を呆れたように見てくる。なんだよっ？




「Aは会社では伊藤のまんまなんだし、いちいち細かいわ、おまえ。」


「そうだよ、皆イトさんって呼んでんだから今更北山さん、は？誰？ってなるっしょ。ミツは気にしすぎ。」


「だって、イトさんはイトさんですもんねぇ。愛すべき愛称ですから。気にしないでください、北山さん。」









・・・そこな。
俺が今一番気に入らないとこってのは。



結局、Aは結婚しても社内外での苗字は変えなかった。
ずっとイトでやって来たし
これで愛してもらってるし、とかなんとかイトはイトなりに考えがあるみたいで。



別に構わないさ、戸籍上は北山だし？
会社で使うだけの伊藤だし？



そうは思ってても、目の前でイトイト言われるAにやっぱり面白くねー。

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