帰ってきた「君のその手に」【完結】

３８ 北山side ページ38

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「ただ、私が桐谷部長が離婚したって事、てっきり伊藤さん知ってるものだと思って話しちゃって、そこからお酒のピッチが上がっちゃって、」



ごめんなさい、と相沢に頭を下げられた。



･･･そっか。知っちゃったか。





「いや、元々は黙ってた俺が悪い。」


「まぁ、言えねーよな。言わなくてもいい事ってあるし。社内でも極秘らしいし。でも北山が桐谷部長にふらついてんのAわかってるぞ？そういう所だよ、おまえのしょーーーっもないとこ。」






切れてるわ、藤ヶ谷。
だよな。全部俺が悪い。





「ちょっとぉー、藤ヶ谷ー？宏光の悪口いわないでよぉー。」



くぐもった声で言ってから顔を上げるA。
確かに、もう出来上がりすぎ。
頬っぺた真っ赤で目据わってっし。





「はいはい、みろ、結局おまえらの惚気聞くだけじゃん。後は自分で何とかしろよ？」




そう言って藤ヶ谷は席を立った。





ただ、最後マジな目で俺を見据えてから




「桐谷部長が離婚してようとおまえがまだ気持ち残ってようと、Aはおまえしか見てねーんだよ。わかってんだろ？マジでしっかりしろ。」


「そうですね。そこが北山さんの可愛いとこですけどそれを伊藤さんには見せちゃダメです。」






・・・ニコイチのこいつら、やっぱりキライ。





わかってるわ、見せたくなくても見抜かれんのっ。




そんな反論出来るわけもなく
やっぱり俺が全部悪い、と反省だ。
ちゃんと、謝ろう。
それからちゃんと言わなきゃいけない事を言わないと。






「A？帰ろう、」


「帰るってどこにー？」


「家に決まってんだろ？」


「･･･私の家って、どこ･･･？」


「はぁ？」




案の定、意味不明の事を言ってシクシク泣き出してしまった。




「わたし、かえるとこ、あるの？」


「･･･あるだろ？俺達の家が。」





ダメだ、酔って更に拗らせてる。
でも、それもこれも俺のせい。
だからちゃんと向き合わないと。




「A？俺はおまえしかいねーよ。桐谷部長が離婚してたってなんだって、俺達は結婚してんだろ？」



「結婚してるから、私といるの？私がいなかったら、ひろみつは桐谷部長と結婚できるようになっちゃったよ？」




酔っ払いの戯言とは言え
思わずバカヤロ、と呟いてた。

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