帰ってきた「君のその手に」【完結】

３１ 北山side ページ31

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ついに言ってしまった。
ずっと思ってた事を。



そもそもA支社に異動になる時点で辞めてれば良かったんだって切に思ったから。



元不倫相手が上司とかありえねーだろ？
って、俺は進行中の不倫相手が上司だった訳だけどそれとこれとは全然違う。




崎本部長との事がAのストレスの原因の一つなんじゃねーかって考えると、元彼の事で気を揉む嫁とか耐えらんないし、何もなくとも心情的に嫌だ。



でも･･･、




「やっぱ、泣いちまった、」



Aにとってどれだけ仕事が大切か
わかってるはずなのに自分のエゴで泣かせてる。



「だってっ、辞めたく、ないっ、」




･･･だよな。
でも、俺はもう、崎本部長と会って欲しくない、



元々俺だけのAでいて欲しくて。
藤ヶ谷や二階堂と同じフロアにいるってだけでほんとは嫌だった。



でも今は崎本部長と抱き合ってたのが引っかかり過ぎて何がなんでも辞めて欲しい




･･･なんて、勝手、なのか･･･？




変な空気になったしとりあえず風呂から出る。



せっかく普段通りになれたのに、また揉めるような事言って俺は何を焦ってんだ。



でも、ちゃんと話さなきゃいけないことも、ある。



髪の毛を乾かして寝室に来たAを出来るだけ優しく呼びよせるけど、Aは表情を固くしたままベットの端に座るだけで俺の方には来てくれない。



仕方ないから背中から抱きしめた。





「話、聞いてくれる？」


「･･･うん、」


「ごめん、俺の勝手でAの仕事辞めて欲しい、とか言って。」


「･･････」


「ぶっちゃけ、崎本部長と一緒にいて欲しくない。過呼吸になるほど仕事頑張って欲しくない。･･･俺だけのAでいて欲しい。」


「そんなっ、･･･」


「勝手だよな。わかってんだ。」


「そんな事言ったら、私だって、相沢さんと一緒にいる宏光、嫌だよ？」





・・・そうなの？
そこ、考えもしてなかったかも。
そもそも相沢は本気になった相手じゃなかったから圏外だったけど、確かに逆の立場なら嫌かも。





「桐谷部長が辞めるの、正直私ほっとしたの。最低でしょ。」




顔が見えないAがもどかしくて
こっちに振り向かせようとしたらやめて、と体を固くされた。

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