女心とミツと空。【完結】

８ 北山side ページ8

・





どうしてこんなに腹が立つんだろう？



ほっときゃいいのに
上原の三年間、俺も同じだけ一喜一憂してたように思う。



沢村の誕生日プレゼント何がいい？って相談されたりして
その時ばかりは本気で一緒に考えたり。



結構金かけるんだよな、あいつ。



こうなりゃ都合のいい女にプラスして
ただ貢いでるだけの女じゃんって。
だって、沢村からなんか貰った事ってあったっけ？



沢村が酔ってるから車出して、と連絡があればいそいそと車で迎えに行ったり完璧いいように利用されてるようにしか見えなかった。







ただ、楽しそうだったから。上原は。



だから俺はそのうち沢村は上原をなんとかしようとしてんじゃねーかって思うようになってた。



重症だよ、俺も。
上原と同じように沢村をどこか信じたい気持ちになってきてんだからさ。



だから、初めて映画デートした！とか
手を繋いで歩いた！とか。



少しでもカップルっぽい事をしたという報告を受ければ俺も一緒になって喜んでたんだ。








でも･･･最近アキの機嫌が悪い。



「なぁ？なんか怒ってる？」



そう聞いても別にって言ってまだ態度悪いまんまだし。



そしたら俺も面白くねーし
なんとなくアキと連絡を取らないようになってきてた頃。







「ね！北山！沢村くんのクリスマスプレゼントなんだけど！」





･･･こいつ、マジで貢ぎすぎだろ。




「いらないんじゃね？この前誕プレあげたばっかじゃん。」


「ばっか、誕生日とクリスマスは別に決まってんじゃーん。」




でね？彼が地元の東北に帰るときに着てくダウンがいいんじゃないかと思うのー、とか一人で話し出した。






「おまえは沢村のおかんか。」


「うるさい。私の選んだ物を着てくれるってのが嬉しいんだよ。」





有無を言わさず仕事帰りに店に連行されて
キラキラした目で沢村の為にダウンを選ぶ上原の横顔を眺める。





なんだよ、三年経っても変わらず恋してる顔しやがってさ。



どうして沢村は上原を彼女にしてやんないんだろ。
こいつ、結構可愛いぞ？



単なる同期のはずだった上原は
沢村と会いだして、俺にとっては目が離せない女になった。
そして、幸せになって欲しいって思う存在になって行ってたんだ。







・

９→←７ 北山side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す