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家の前に着くと当たり前のように北山も一緒に降りてくるから嫌だって言ったのにほんとに私の話し聞いてないんだけど。




「帰って、」


「うるせ」


「ほんっとに、お願い。一人になりたいの。」


「早く行くぞ?」




タクシーの前で押し問答する間もなく私より先にマンションのオートロックの前で待ってるし。



仕方なくドアを開けて
もうどうだっていいやって気持ちで北山を受け入れる。



いたいんならいればいいよ。
ただ、北山の気持ちには応えられないって私、ちゃんと伝えたっけ?



めんどくさい。
めんどくさいよ。


私の後について部屋に入ってくる北山をほっといてすぐお風呂場へ向かう。


シャワーで体を流しながら
私のこの煩わしい想いや悲しみが一緒に流れてしまえばいいのに。


洗っても洗ってもそんなの全然どこへも行くわけなくて
痛いくらい擦りすぎた腕をぼんやりと眺めてたら扉がノックされる。




「おいっ、上原?どんだけ風呂なげーんだよっ?なにしてんの??」


「・・・別に手首なんて切ってないから。心配しないで。」




ウザイよ北山。
私はね、今死にそうに悲しくて辛いけど
死ぬ程の勇気は持ち合わせてないの。



私の言葉に返事をするわけでもなく
北山は静かに洗面所のドアを閉めて出て行ったのがわかった。



深くため息を付いてキュッと蛇口を閉じた。









「おっ、もう寝るか?」


「うん。だから帰って。」


「いや、俺今日ここ泊まるし。」





バカじゃないの。
やめてって。ほっといて。構わないで。
そう思うけど、もう北山を振り切る力がない。



無視してベットに入ろうとすると
北山がドライヤーは?なんて聞いてくるからまためんどくさい。



「乾かしてやるよ。」


「あっち行って。」


「はいはーい、熱かったら言ってくださーい。」




って。聞いてないし。



無理やり体を起こされてベットの上で
北山に髪の毛を乾かされてる私。



早く一人にさせて。
一人になりたい。
泣きたいよ。
私はこれからどうやって生きていけばいいんだろう?



絶望の中
北山にされるがまま。
ぬる暖かい風が気持ち悪くて
また込み上げてくるなにか。



カチリ、とドライヤーが切れる音とともに
北山の腕がお腹に回ってきた。



それと同時に
ずっと堪えてた涙が溢れ出して止まらなくなった。

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Haru(プロフ) - にかみつばさん» みっくんの長年の恋がようやく実っての、完結でした。そう言って頂けてありがたいです!また他作品、遊びに来てくださいね!ありがとうございます(^^) (2020年5月25日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - みっくんの恋が報われて嬉しいです。もっともっと読んでいたかったです。 (2020年5月25日 12時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - りーちゃんさん» ありがとうございますー!みっくんの長年の口説きにようやく落とされまして無事完結致しました(笑)そうですよね、私ラブラブがなかなか書けなくてすぐ終わりにしてしまう悪い癖が(笑)他作品もよろしくお願いいたします♪ (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - さっこさん» さっこさんもいつもコメントありがとうございます!番外編。。ちょっと今は考えられないですがそう言って頂けるのは幸せです。また読み直して下さるとは。。ありがたいですーっ、他作品も頑張ります♪ (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みちこさん» ありがとうございます!女は愛される方が幸せ。。まさにこの物語がそうですよね。それが北山さんなら。。言う事ないのですが(笑) (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Haru | 作成日時:2019年9月29日 8時

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