女心とミツと空。【完結】

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「･･･おまえ、髪の毛綺麗だな。」





･･･うるさいっ、




涙が止まらない私に北山はポツポツと話しかけてくる。




「あと、めっちゃ、いい匂いする。」


「すっぴんもイケてる。」


「そのモコモコのパジャマ、やばい。」









「･･･うるさいよ。」







褒められた事のないことばかり
しかも北山から言われることが鬱陶しさしかないし
そもそも白々しい。



振られて落ちてる私を慰めたいのか
とにかく、らしくない事ばかり言うからウザいんだよ。





「･･･あ、そうか。」



なんとなく、腑に落ちた。




「なに？」


「北山さ、私の事、抱きたいとか思ってんの？」





そうか。
沢村くんとダメになった私だから
とりあえずヤリモクでこんな事言ってくるのか。


知らなかった。北山って私みたいなのでも相手にしたいと思うんだ。





「もうさ、めんどくさいからやっちゃおうよ。いいよ。私。」



回されてた腕を解いて涙をぐいっと拭いた。
北山の方を振り向いてそう言うと北山は表情を固くしてる。



言い方があからさま過ぎたかな？
でも、そういう目的ならそうと言ってくれたら手っ取り早いよ。



私はさ、自分の事好きじゃない人とでもできるんだから。
北山だって同じでしょ？
するだけしたら、それで満足なら私、








「･･･ふざけんな。」


北山の声が震えてる。


「ばかやろ、ちげーよっ、そんなんじゃねーって。」





むちゃくちゃ怒鳴りそうな勢いの顔してたくせに
北山から出た声は弱々しくて泣きそうな声だった。




「なっ、なによ、泣かないでよ。」




やめてって。
私が今泣いてたんでしょ？
なんで北山が泣きそうなんだよ。



「俺はっ、おまえが好きなんだよっ、わかるか？好きなのっ。やりてーからここにいる訳じゃないんだって。そんな男だって世の中にはいんだよ。」





わかんないよ。
そんな男の人いるの？



じゃあ、どうして沢村くんはさ、
私を、いつもいつもそういう対象にしてたんだろう？



私を、好きじゃなかったから？
抱きたかっただけだったから？
だから彼女でそれが満たされたら、私はもう必要がないって事なの？






･･･どうして、沢村くんは私を好きになってくれなかったの･･･？









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