女心とミツと空。【完結】

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あれから泣き疲れて眠ってしまったみたいで
夜中何度も目が覚めたけど北山にガッチリ抱きしめられてて動けない。



変なの。
沢村くんじゃない匂いの男にこうして抱きしめられて眠るって。



でも、こうして北山と眠るのは二回目だから
最初の時より慣れてきてる自分もいたり。



北山、本気なのかな？
私と付き合いたいとか思ってんのかな。



めんどくさいよ。私はね、悪いけど彼氏が欲しかったんじゃないの。沢村くんと付き合いたかっただけなんだよ。



だから、北山にこうして関わられるのが本当に鬱陶しい。



そう思ってたけど
人の温もりってどこか安心するんだな。




･･･例え好きな人じゃなくても。




だから朝、目が覚めた時にもう見慣れた北山の顔を見ても昨夜ほどの嫌悪はどこかに行ってしまってた。




欠伸をしながら不機嫌に目を覚ました北山は
何も無かったように、朝飯作ってー、とか訳の分からないことを言い出す。




「食べたいなら一人で食べて。」



そう言うと、



「一緒に食べるから美味いんだろ？」



ニヤリと微笑んで勝手に冷蔵庫を空けてなんもねーじゃーん、ってボヤいてるその姿をただ、見つめてた。




「買い物行くべ。」


「行ってらっしゃい、ってかいつ帰るの？」


「帰らねーって。ほら、着替えて。」


「え？一緒に行くの？」


「そーだよ、また逃げるだろおまえ。一人になれると思ったら大間違いだかんな〜？」




楽しそうな北山のテンションとは真逆な私だけど
北山の勢いに反論するのも面倒で顔を洗って服を着る。




「･･･北山、スーツ、よれよれ･･･、」



私を待って突っ立ってる北山は
そういえば昨日スーツのままここへ来て
お風呂に入る間もなく私とベットに入って寝たんだ。



ネクタイを外した、ワイシャツとヨレヨレの、スーツのズボン姿･･･



･･･今、ようやく北山の状態を把握した私。




「そ。着替えと朝飯買いに行くぞー。」



やっと気付いたか、と呆れ気味に笑う北山に手を取られて外へ出た。



変なの。



北山に手を取られるのに慣れてる自分が。






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