中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

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｢だぁーーーっ！｣



いきなり叫ぶからビクってなるし。





｢ちげーよ。Aの水着見たくないとかそんなんじゃねーしっ、｣



｢え･･･？｣



｢和人さんと翔太さんに見せたくなくて咄嗟にタオルかけちまったっていうか、なんていうか、はぁーっ、｣




｢･･･それって、藤ヶ谷くんがマリエさんにタオル掛けてたのと、同じって事なの？｣





やっぱり男の人が何考えてるとかさっぱりわかんなくて。



そういえばさっき見た藤ヶ谷くんの行動を思い出してそのまま口に出てた。





｢あ？藤ヶ谷も？･･･俺、あいつと同レベルなのかよーっ、｣






なぜか凹み気味に項垂れてるミツ。




同じ？
藤ヶ谷くんは、マリエさんの水着姿、皆に見せたくなくて



ミツは、私の水着姿を、和人さんと翔太さんに見せたくなくて･･･？




ん？



それって、



どういう、こと、なの、かな？






｢･･･ミツ？｣



｢わりー、変な事して。･･･忘れて？｣



｢う、うん。｣






考えてもちょっとわからない。



忘れて？って言うんなら、･･･大したことじゃないのかな。




よくわかんないまんま、じゃあ、このタオル、返すね？ってミツに渡して、自分のタオルを代わりに肩にかけた。







｢･･･今から、シュノーケリング、行く？｣



なぜか遠慮気味に訊ねてくるミツ。



｢うん！行くっ！｣








嬉しくて珍しく勢いある返事しちゃったら
ふわりと微笑んでくるミツにドキドキする。






フェリーで勇気出して話しかけて良かった。
一気にミツと距離が縮まってる気がする。



一緒にシュノーケリング出来るなんて夢みたいだよ。









｢私、初めてなんだけど出来るかなー？｣



｢俺も。でも皆やってるし泳げたら余裕でしょ。A、泳げる？｣



｢うん、人並みには･･･でも高校の体育の時以来なんだけど。｣



｢俺もガッツリ泳ぐのはそーかなー。でも海って浮くじゃん？いけるっしょ。｣




そうだよねっ、なんて、普通に会話出来てることに軽く感動しちゃう。






ミツと一緒に海の中を潜って、ぷかぷか浮きながら色とりどりの熱帯魚を見た。



透き通ったマリンブルーの水中は太陽に照らされてキラキラ光ってて、魚達の世界にミツと二人で入り込んだ。




こんなに素敵で幸せな事ってあったかな？




お互い珊瑚を足場に立ち上がった時、
マスクを外した楽しそうなミツの興奮した笑顔。




もう、それだけで充分だった。

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