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「っ、ちょっと、裕太?」
裕太の耳にはもう私の声なんて届いてない。
裕太の目⋯
今までこんな裕太の顔見た事ない。
冷ややかな目で宏光を見据えるその姿はびっくりする程大人びていて、ゾクリとした。
「あんた?オレの姉貴にちょっかい出してんの。」
「⋯何のこと?」
「ちょっと!裕太?何言ってるの?止めてよっ。」
「姉貴は黙ってて。」
⋯どうしよう?
いつの間に裕太はこんなに大人になっていたんだろう?
裕太には目の前の宏光は私を悲しませる存在でしかないって思ってるんだ。
だからこうして必死に私を守ろうとしてくれてるんだね?
今までの、彼氏に嫉妬して目くじら立ててた裕太とは全然違う。本気で怒ってるのがわかる。
でもっ⋯
「裕太?違うのっ。この人とはねっ?」
私が好きで会ってるんだから、ってどう説明しようか迷ってると
「玉森?弟、姉ちゃん大事なんだな。かっこいいじゃん。」
途端、何がおかしいのかふっと笑みを零した宏光。
そして眩しそうに目を細めて裕太を見上げた。
「オレは姉ちゃんとは何もねーから。今までも。これからも二人で会う事はないよ。」
そう言って何か口を開こうとする裕太の肩をポン、と叩いてお疲れって会社に向かう宏光に何か胸騒ぎがした。
なに⋯?
何か含みを持たせた言い方で、宏光が私から離れてっちゃうって恐怖が押し寄せる。
「⋯あいつ、逃げたな。」
チッと舌打ちをしてから
「⋯帰ろ?」
いつもの裕太のふにゃんてした声でそう言って私の背中を押す。
⋯ちょっと待って。
やっぱりさっきの宏光の言葉⋯
確かめなきゃ。
今、確かめなきゃ気になっていてもたってもいられない。
「裕太?私、会社に忘れ物したっ。」
全力で嘘を付く。
怪訝そうに私の顔を伺う裕太に
「先、帰ってて?ちょっと遅くなるかもしれないから。」
逆方向に向かう私を裕太の手が掴んだ。
「⋯あいつんとこ、行くの?」
「⋯行かない。忘れ物だって言ってるでしょ?」
もう既に全部バレてる。
でも、最後まで嘘を付き続けるよ。
ごめんね?裕太。
裕太の手を優しく解いて会社へゆっくりと歩いて戻った。
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mora(プロフ) - わたし、毎日でもいけます←ヲイ 北山さんじゃないけと、求められたら答えられる自信あり。←聞いてない (2019年1月15日 15時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - moraさん» そーですよね。友達とか意外と最高かも。。ずっと一緒にいられるから(T_T)みっくんと結婚なんてしたらほんと不器用で可愛らしいしかなくて子供と一緒にいる感覚になりそう(笑)それで3日に1度オスになってくれたら言う事なし!←結構贅沢な事言ってる(笑) (2019年1月15日 13時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - 結局、北山担はどんな北山さんでもまるっと好きですからお近づきになれるなら立場どれでもいーですよねー♪笑確かに結婚するならたいぴかも。あーでもなぁ、不器用な北山さんが見せてくる頑張ってる感もやっぱり捨てがたいー。←真剣 (2019年1月14日 22時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - moraさん» タイプ全然違うから迷ってしまいません?結婚するならたいぴ、遊ばれるならみっくん←おい。いや、みっくんなら恋人でも結婚でもはたまたお友達でもなんでもいいんですけどね(T_T) (2019年1月14日 22時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - たいぴか…。ちょっといーかも 笑 でも結局北山さんがいい!って絶対なりますよねぇ。タイプ全然違いますもんねぇ。 (2019年1月13日 23時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2018年10月17日 14時