君のその手に ３

１３２ 北山side ページ37

毎日ほとんど何も食わずに酒とタバコだけ口にしてたツケが回ってきたんだと思った。



妙に胸がいてーし熱も出てきた感じ。



それでも会社は休みたくなかったから風邪薬飲んで朦朧としながらも仕事をこなす。



⋯家にいたらイトの事ばっか考えるんじゃねーか？って怖くて。麗華さんじゃない女の事でこんな惑わされるなんて思いもしなかった。




とにかく毎日疲れ果てて家に帰りたくて。




そしたら何も考えずに眠れるから。








二階堂とイトの姿を見てからオレはおかしい。



あれからイトから毎日のようにメールが来て
それを楽しみにしてる自分も。



イトはただ、失恋したオレを心配してるだけじゃん。
わかってはいてもこうして構ってくれるのが今のオレには支えになってた。







生きてる？ってメールが来た土曜日の朝。



目が覚めても体が怠くて胸は痛いし、咳は止まんねーし、オレ、このまま血でも吐いて死ぬんじゃね？って。



ほとんど無意識に、助けてってイトに送信してた自分にびびったわ。



なにやってんだ、オレって思う間もなくイトから着信が山のように来てたけど、声が出ねーし、たかが風邪ひとつで弱音吐いてどーすんだ？って。




ただ、変な心配かけてるわって気付いて一度だけ電話に出て、とにかく大丈夫って事を伝えてからの記憶がない。







目が覚めた時に一番に泣きそうなイトの顔が飛び込んできて辺りを見回すと病院にいるみたいだ。




「きたやまーっ。」



半泣きでオレの手を握るイトの手を握り返そうとしても力が入んない。



でも、今目の前にイトがいることに心底ほっとしてる自分がいる。





「ここ病院だよ？肺炎だって。栄養失調と貧血とで倒れてたんだよ？」




⋯なんだそれ？風邪じゃねーの？



言いたい事はあるのに声にならなかった。





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