【歌,い,手】音ノ葉

#35 ページ36

Aside


入ります！｣


そう息ぴったりに言う2人は、希望に満ちた、キラキラと輝く瞳でシェアハウスメンバーをぐるりと見渡した。


｢ｯ‥‥！｣


天月は、目を見開いていた。多分、何でこの二人はこんなに純粋な瞳で僕を見てるの、みたいな感じなんだろう。


(僕‥‥あんなに酷いこと言ったのに


駄々っ子みたいに、嫌だ嫌だ、って‥‥)



静かに目を伏せた天月の気持ち、今だけ分かる気がした。


どうせ、いつもの気の所為だろうけど。


｢‥‥今回の最終判断は、天月くんに任せる。

僕より、天月くんが選んだ方が絶対いい｣


そう鋭い眼差しで言う歌詞さん。天月はそれを見ておどおどしてしまっていた。


｢ぼ、僕は‥‥｣


天月がそういった瞬間、静かだったみんなにさらに、緊張感が生まれた。


誰かがごくりと唾を飲んだ。


私は心臓がどくどくと大きな音を立てて鳴っている。




｢‥‥お二人に、入ってほしいですっ！｣


顔を真っ赤にして言う天月。それを見た歌詞さんが、｢よく頑張ったね、｣と天月の頭を撫でていた。


｢やったぁー！｣

｢き、緊張したあ‥‥｣


へなへなと机に突っ伏す渉に、子供のように喜ぶ坂田。ああ、本当に変わらない。


｢懐かしい、な‥‥｣


私には分からないけれど、普通の人で言う実家に帰ってきた、みたいな感じなのかな。


｢‥‥A何か言った？｣


まふが私の顔を覗き込んでいて、ビックリして顔を上げてまふと額をぶつけてしまった。


｢｢った！｣｣


い、たい‥‥痛い痛い‥‥結構ばっ！って感じで顔上げちゃったから、マジで痛い‥‥まふもだいぶ痛いだろうな。


｢‥‥まふ大丈夫？｣

｢そらるさん！？俺はどうなんですか！！｣


まあでも、そらるさんもまずまふを心配するよね、付き合い長いし‥‥｢After the Rain｣っていうユニットも組んでるし。


｢どうでもいい｣

｢‥‥ちょっと俺ジェットコースターから飛び降りてくる｣

｢｢やめて！？｣｣


すっかり元気をなくしていた天月も、元気にツッコミをしていた。


すっかり渉とハモっちゃって‥‥。


でもそらるさんに｢どうでもいい｣とか言われるのは流石に気が滅入るわぁ‥‥。


｢あ、みんな食べたみたいだね。よし、次はまた4時に集合だよ！｣


｢｢はーい！｣｣


そのあと、みんなで色々回って、寝落ちするまで遊園地を楽しんだ。


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