【忍たま】柑橘狂はトリップしても無敵Part3

98話:ぬぉあっ ページ5

「まずは腕を冷やしましょう。
腕を出してください」

数馬くんの指示に、しゃがんで腕を出した。

「冷たいですけど我慢してくださいね〜」

そう言って水を掛けられる。

「うひゃあぁ〜っ」

あまりの冷たさに声が漏れた。

でも、さっきの燃える様な熱さよりずっと気持ちいい。

それを何度か繰り返して、次は足を冷やす。


「はい、終わりました。
くどいようですが、孫兵が寝たらすぐに手当てしますからね！
それまで無理はしないでくださいよ！」

「わかってるわかってる」

まったく心配性だなあ、と言いながら水を汲む。

桶二杯分汲めたところで、このくらいかと止めた。

「さて、帰るよ〜」

そう言って桶の一つを持ち……


「ぬぉあっ！」


「え？どうかしたんですか？」

「あっああいや、なんでもない」

不思議そうな顔をする数馬くんに手を振って両手で桶を持った。




………両腕を怪我してんだったあああぁぁぁああ！

力を入れたことで傷がズクズクする。
なんかもう、ズクズクする。

襲い来る痛みになんとか堪えつつ、医務室に桶を運び終えた。


医務室の前にはもうシナ先生が来ていて、手には雑巾を持っている。

「Aちゃん来たわね。
じゃあ、一応孫兵くんに聞いてきてくれるかしら」

「はい、わかりました」

そう言って1人で医務室に入る。


「まーごへーいくんっ
遅れてごめんね」

ぴょんっと孫兵くんの側に近寄り、目線を合わせる。

孫兵くんは私を見ると安堵の表情になり、大丈夫ですと言った。


「でさ、孫兵くん。
今シナ先生と3年生の子達が来てくれてるんだけど、会える？」

それを聞いた孫兵くんは、驚愕と喜び、怯えのまじった複雑な表情になった。

「……大丈夫、だけど…みんなきっと怒るから………」

「えっ、怒る？そんな訳ないじゃん」

「でも………」

「あのね孫兵くん。
貴方はみんなに迷惑かけたって思ってるかもしれないけど、全然そんなこと無いからね」

「えっ？」

孫兵くんが驚いた顔をする。

私はその頰を両手で包み、むにむにと触った。

「逆にもっと甘えていいくらいだよ。
だからそんな顔しないの。

ほら、みんな来るんだから笑って笑って！」

ぐいっと無理やり口角を上げれば、孫兵くんは可笑しそうに笑った。


「よしよし、それでいいの。

みんなー、入っていいってよー！」

外の6人にそう呼びかける。

その途端、ふすまが勢いよく開いてみんなが飛び込んできた。

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