132話:バチコーンッ ページ39
厠を済ませ、帰り道。
シナ先生と並んで廊下を歩いていた。
「Aちゃん体調大丈夫?
また倒れたりしない?」
そう心配そうな目で見てくるシナ先生に大丈夫です、と返す。
「数馬くんのお薬のお陰でだいぶ良くなりましたから」
「そう?なら良いのだけれど…」
もう無理はしないでね、と言われ、少しためらった後曖昧に笑っておいた。
これから先も、少々の我慢は必要となるだろう。
「しませんよ」なんて嘘を言ってしまえば追及はされないのだろうが、私を信頼してくれている人に嘘はつきたくない。
…孫兵くんには色々とついてるけれど。
案の定それを不審に思ったシナ先生が問い詰めようとしてきたが、ある一点を見てぴたりと止まった私に吊られて動きを止めた。
「………シナ先生、お先に帰ってくれませんか?」
視線は動かさずそう言う私に、いかにも不審げな表情を浮かべる。
しかし何かを感じたのか、
「本当に無理はしないでね」
と一言言って医務室へと戻っていった。
私は縁側から外へ出て、視線の先にある木陰へとゆっくり近寄った。
「ハチくん、」
そう声をかければ、木の下でうずくまっていたハチくんが顔を上げる。
「………A」
「あらまあ、随分疲れた顔してるね。
まるでそう…」
_______あの時の孫兵くんみたい。
キシシと笑ってみせれば、ハチくんは僅かに顔を歪めて「性格悪いんだな」と言った。
「2日ぶりだね。
元気してた?」
わざと明るい口調で問えば、ハチくんはそれを否定する。
「元気になんてできるはずない。
あれから色々考えた。
動物達が死んだなんて信じられないくらいなのに、この手はその感触を覚えてる。
何度も夢の中で繰り返されて、やめろと叫んでも自らの腕は止まらない。
…なあA、孫兵の様子はどうだ?
あいつは委員会の中で一番毒虫達を大切にしてたから、きっと俺の事を恨んでる。
それどころか、今夜にでも始末しにくるかな。
悲しんで悲しんで、今も苦しい思いをしているだろう」
いっそお前がその手で殺してくれ、と目を伏せて言うハチくんの頰を思い切り叩いた。
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河鳴(プロフ) - さくらんぼぱいさん» 前作からありがとうございます!ギャグとかほざいてたクセにシリアスたっぷりですが、よろしくしてやってください! (2015年6月15日 19時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼぱい(プロフ) - すごいおもしろいですー。笑更新がんばってください。応援しています (2015年6月15日 18時) (レス) id: eb5c2b9479 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - 吹雪夏海さん» 今までノーマルだった夢主ちゃんはショタへの目覚めに戸惑うこともあるでしょうが、生温かい目で見守ってくれたら幸いです!応援ありがとうございます! (2015年6月14日 22時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪夏海(プロフ) - 河鳴さん» wwwショタ夢主って大好きですw面白いから【真顔…更新応援してます!! (2015年6月14日 22時) (レス) id: ffcea8df34 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - 吹雪夏海さん» コンセプトは「とにかくショタ」です( *`ω´)前作が久々知オチでしたので、今回はとにかくショタです。上級生もギリギリショタとか知らない。ショタが許されるのは小学生までです。これからも夢主ちゃんのショタコンへの変貌っぷりに乞うご期待です! (2015年6月14日 0時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:河鳴 | 作成日時:2015年6月3日 19時