【忍たま】柑橘狂はトリップしても無敵Part2

93話:しまった ページ49

お留守番中の孫兵くんを思い、少し足早になる。

しかしお粥をこぼしてはいけないと、慌てる足を落ち着かせた。


だが、その行為も突然の悲鳴で止める事となる。



「うあああああぁ‼︎」



っ！あの声は……


「っ孫兵くん！」


医務室側から聞こえてきた声に走りだす。

お盆の食器がかちゃかちゃと音を立てるが、そんなのを気にしている場合じゃない。


悲鳴によって長屋から顔を出した少年達の間をくぐり抜け、ドタドタと廊下を走った。

ようやく見えてきた医務室はふすまが開き、誰かが入り口で立ち往生している。


「おい邪魔だどけ！」

「ぐぇっ」

入り口の人物の襟首を掴み、後ろに引っ張った。

その服装は緑の忍装束を着たふわふわ髪で、おそらく伊作くんだろう。


…なんでこのタイミングで来るんだよクソ野郎！


「孫兵くん！大丈夫！？」

心で毒吐きながら医務室に飛び込んだ。

見れば室内は惨憺(さんたん)たる様で、それは今現在身近にある物を投げ続けている孫兵くんによって作られたものだとわかった。

私はふすまを閉め、外野の邪魔が入らない様にした。


「ゔあああああああ！」

「孫兵くん落ち着い……痛っ！」

孫兵くんの投げた湯呑みが腕に当たり、拍子にお盆を落としてしまう。

それが右腕や足にかかって、燃える様な熱さが襲ってきた。

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