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49話:技術が光る ページ5

「僕先生を呼んできますから、お布団敷いて寝かせてもらっていても良いですか?」

私はその言葉に頷き、医務室へ入った。



ひとまず四次元バッグから取り出した枕を置き、孫兵くんを床に寝かせる。

そして孫兵くんの着物を脱がせ、バスタオルで身体を拭き始めた。


「…………ん、………」

孫兵くんが小さく唸るが、起きる様子はない。


あらかた拭き終わったら、四次元バッグから新しい寝巻きを出す。

少々手間取るが、前に小児科医の兄に教えてもらった着せ方を思い出しながら素早く着せる。

最後に押し入れの布団を敷き、そこに孫兵くんを寝かせて終わりだ。


「、ふう…」

額の汗を拭い、ため息をつく。


こんなに焦ったの久しぶりだ。

若干ペドが入ってる兄の教えなんて絶対役に立たないと思っていたけど、今だけは感謝しよう。


でも、素敵な笑顔でロリショタについて語る兄を思い浮かべながら、やっぱりやめよう、と思った。

あいつは趣味と実益を兼ねた変態だ。



「先生連れてきました」

少年の声がして障子を見ると、そこには優しそうなおじさんがいた。

「おはようございます、校医の新野です。」

「はじめまして、五十嵐Aです。
早速すいませんが、この子を診てもらいたくって。」

そう言って孫兵くんを指すと、新野先生は少し驚きつつ、治療に取り掛かった。


「この子は3年生の伊賀崎孫兵くんですね」

「そうなんですか」

「ええ、少し前に先生方から相談を受けていたんです」

「相談?」

意味がわからなくて、言われた単語を復唱する。
新野先生はそれに、治療の手は止めぬまま頷いた。

「『孫兵が飲まず食わずでこのままじゃ死んでしまう。どうにかしてくれないか』と。

手遅れになる前に、貴女が助けてくれてよかった」

「いえ、そんな……」

その言葉に照れくさくなって、左手で頭を掻いた。

そのとき、その動作を見ていた少年があっ、と声をあげる。


「どうしたんですか、その傷」


見ると、腕には血だらけになった包帯が巻かれていた。

50話:β-エンドルフィン→←48話:医務室への案内



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河鳴(プロフ) - ヤシさん» これからもちょくちょくトトロ衆として出てくる予定w (2015年6月1日 20時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤシ - 河鳴さん» めちゃくちゃしっくりきたことが笑えたwww確かに大きさピッタリだよねwww (2015年6月1日 20時) (レス) id: e3e927854f (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - ヤシさん» ほら、孫兵くん疲れてるからそっとしておいてあげて…wあの3人思い浮かべた時に出てくるのがトトロだったwwwトトロも3年生も可愛いからね、うん (2015年5月31日 19時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤシ - 河鳴さん» 思ったけど孫兵めっちゃ爆睡してるねwwwあとトトロで迷子組を表現するとかw上手すぎwwその上大中小ってwww (2015年5月31日 19時) (レス) id: e3e927854f (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - 春神さん» わああぁ!ありがとうございます!3年生いいよね3年生。出番が多いのはただの贔屓です。上級生は好きだけど、ちょっと悲しんでるくらいがちょうどいいよね。これから忙しくなるけど、なるべく更新頑張ります! (2015年5月29日 22時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:河鳴 | 作成日時:2015年5月22日 22時

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