不本意 ページ9
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「.........はあ」
教室移動中。
司は教科書やプリントを大事そうに抱え、うつむきながら1人で歩いていた。
近頃ため息ばかりついていることに、司は自覚があった。
心に余裕がなく、挙句の果てにAに八つ当たりしているくらい自分が幼いことにも自覚があった。
もう何も考えたくない。
何を考えようにも、Aの存在が脳裏をよぎって自己嫌悪になってしまうから。
「あ！司ー」
「げっ」
「何そのカエルみたいな声」
自分が姫宮桃李以外の人間に向かって、「げっ」なんて露骨に嫌な顔をすることになるとは、思ってもみなかった。
この人は、Aは、会いたくない時に限って現れる。
別に会いたいと思ったこともないのだが。
「どうせ行き先同じなんだから一緒に行こうよー」
「勝手にしてください」
どうして彼女と2人で教室に向かう羽目に、と司は己の不運を嘆いた。
冷たくあしらってもにこにこ笑ってついてくるのだから、本当に不思議なものだ。
「あれっ、Aちゃ〜ん」
不意に名前を呼ばれてAが後ろを振り向く。
「薫先輩だー。ほら、千秋先輩と泉先輩もいるよ」
Aを呼んだのは3年の薫だった。
クラスメイトで仲がいい千秋と泉も一緒にいる。
Aはたたたっと3人の方へ向かったが、司はその場で会釈するだけに留めておいた。
「こんなところで会えるなんてラッキーだなぁ、なかなか見かけないからさ。Aちゃん、UNDEADのプロデューサーもやってよ〜」
「いいですよー、英智先輩に許可もらっといてください」
「ちょっと、あんたはKnightsのプロデューサーでしょ。かおくん、勝手に引き抜かないでくれる〜？」
薫の願望に過ぎない申し出を二つ返事で受けるAを、泉が引き止めた。
千秋も、「流星隊にも来て欲しいなあ！」と笑っている。
Aが担当するユニットの泉はともかく、関わりがないはずの3年生にまでもう信用され、可愛がられているとは。
司が喉から手が出るほど欲しい才能というものを、彼女はいくつも持っている。
この場にいても仕方がないと思った司は、無言で立ち去ろうとした。
「あ、司！待ってよー」
「あなたと一緒に授業に遅れるのは不本意なので」
早歩きで逃げる司と、小走りに司のあとを追いかけるAを見て、3年生らは初々しさを感じていた。
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トド(プロフ) - にんじんさん» そんなに楽しみにして頂いてたとは！！嬉しいお言葉ありがとうございますー！！今後の励みになります！ (10月2日 19時) (
レス) id: a788b41716 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！毎回の更新楽しみにしてて朝に読んでテンション上げて行くのが日課になってました！！ありがとうございました🙏 続編も楽しみにしてます！ (10月2日 18時) (レス) @page47 id: 96c9f21394 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ありがとうございます！！本当に嬉しいです😭 (8月23日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - とても面白いので更新楽しみにしてます！ (8月23日 22時) (レス) id: 44f6912c5a (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ^^さん» そうですね。評価ばかりどっと増えたので、同じ方が入れてるのだと思います。 (8月18日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月18日 19時
