傍観者 ページ33
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「(いや、見すぎでしょ)」
カフェに来るなり、司もAも自分の好きなものを注文したようだ。
尾行目的の泉はそれほどお腹も空いていなかったので、コーヒーだけを頼んだ。
2人とも美味しそうに食べているが、司の視線がどうもAのケーキに釘付けだ。
注文する時に迷っていたのだろうか。
これではAが食べづらいだろう。
「…………私のも食べてみる？」
ついにAが折れ、「こっちも美味しいよ」と自分のケーキを指さす。
救いとも言える提案に、司は目を輝かせる。
「いいのですか？」
「いいよ〜。はい、」
「えっ！？」
快く受け入れると、Aが自身のフォークでひとくち分のケーキを差し出した。
「あーん」されるとは予想していなかった司は一瞬で顔を赤くし、たじたじになる。
これは泉にとっても予想外で、「アイツらよくも人前で」と呆れ顔だ。
「早くしないと落ちちゃうよ〜。いらないの？」
「いえっ！いただきます！」
司は勇気を出してケーキを口に入れたが、その顔はショートケーキのイチゴよりも赤い。
Aはうぶな司をからかうわけでもなく、にこにこと満面の笑みで「おいしい？」と尋ねている。
「…………はい」
「よかった。ねえ、司のも欲しい」
やっとのことで困難を乗り切った司に休む暇も与えず、Aは司のケーキを指さす。
今度はこちらが食べさせる流れだろうか、と察した司がわかりやすく動揺している。
なんだあの錆びれたロボットのようなぎこちなさは。
下手な芝居でも見せられているかのようだ、と傍観者の泉は思った。
ピュアな2人によるただの純愛だろうし、今のところ平和なので見ていて嫌な気はしないが。
「ど、どうぞ」
「ん、ありがとう〜」
粗相なく乗り切れて、司が胸を撫で下ろす。
泉以外の、たまたまカフェに居合わせた客ですら、司が目の前の女の子を意識していることぐらい一目瞭然だろう。
周りから見ればこんなにわかりやすいのに、Aはまだ気づいていないのだろうか。
鈍感な初恋相手をもった司が少し気の毒に思えた泉だった。
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トド(プロフ) - にんじんさん» そんなに楽しみにして頂いてたとは！！嬉しいお言葉ありがとうございますー！！今後の励みになります！ (10月2日 19時) (
レス) id: a788b41716 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！毎回の更新楽しみにしてて朝に読んでテンション上げて行くのが日課になってました！！ありがとうございました🙏 続編も楽しみにしてます！ (10月2日 18時) (レス) @page47 id: 96c9f21394 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ありがとうございます！！本当に嬉しいです😭 (8月23日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - とても面白いので更新楽しみにしてます！ (8月23日 22時) (レス) id: 44f6912c5a (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ^^さん» そうですね。評価ばかりどっと増えたので、同じ方が入れてるのだと思います。 (8月18日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月18日 19時
