束の間の幸せ ページ21
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司は廊下を歩きながら、ひどく落ち込んでいた。
今日1日、放課後になるまでまともにAに話しかけることができなかった。
話題やきっかけを模索しているうちに、桃李がAをかっさらっていくのだ。
さすがに後からその2人の会話に加わるのはみっともないし、桃李に負けたようで気に食わないのでしなかった。
今日はKnightsの練習日だが、レッスン中にAに話しかけるなどしたら、先輩方のからかいの的である。
幸い教室の座席は隣であるし、Aはプロデューサーとして練習を見てくれるので、会うことはできる。
もう彼女が今日も元気に生活していることを知れたら満足ではないか。これ以上を望むから上手くいかないのだ。
司が無の境地に達そうとしたその時、背後から「司〜」と呼びかけられた。
「あっ、Aさん？私に何かご用ですか？」
「ううん。今からスタジオ向かうなら一緒に行こうと思って〜」
Aの姿を見れたら満足、なんて謹んだ発言は撤回する。
司は結構欲張りだった。
向こうから誘ってもらえるなんて、今日はなんてラッキーなんだろう、と一瞬にして浮かれ気分になる。
きっと今の自分は頬が緩みまくっていて、先輩方に見られたらまた馬鹿にされるんだろう、とわかってはいたが、
たとえ束の間の幸せでも嬉しいものは嬉しいのだ。
そういえば、司はAに聞きたかったことがある。
誰もいない今なら聞けそうだ。
「Aさんは、その…………好きな方とかは、いらっしゃるのですか？」
自分から聞き出しておいて、司は顔から湯気が出そうなほど恥ずかしくなった。
Aにバレていないか心配である。
「うん、いるよー」
「えっ？」
「地元にいた時から、ずっと好きなんだ〜」
Aがニカッと笑う。
可愛いのだが、とても愛くるしいのだが、今の司にはとてつもないダメージだった。
顔の熱も、幸せ気分も、一瞬にして遥か彼方に飛んでいってしまった。
Aにはずっと想い人がいるのに、自分は冷たい態度ばかりとって、何をしていたんだろう。
司は全てが終わったと思った。
「そう言う司は？好きな子いるの？」
「何も聞かないでください……」
「え〜？私は教えたのに」
あなたです、なんて今更言えるわけがない。
こんなことなら先に言っておくべきだった。
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トド(プロフ) - にんじんさん» そんなに楽しみにして頂いてたとは！！嬉しいお言葉ありがとうございますー！！今後の励みになります！ (10月2日 19時) (
レス) id: a788b41716 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！毎回の更新楽しみにしてて朝に読んでテンション上げて行くのが日課になってました！！ありがとうございました🙏 続編も楽しみにしてます！ (10月2日 18時) (レス) @page47 id: 96c9f21394 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ありがとうございます！！本当に嬉しいです😭 (8月23日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - とても面白いので更新楽しみにしてます！ (8月23日 22時) (レス) id: 44f6912c5a (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ^^さん» そうですね。評価ばかりどっと増えたので、同じ方が入れてるのだと思います。 (8月18日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月18日 19時
