【ヒプマイ】どこの世界でも俺が最強だと思ったら大間違いだクソボケ！！【4章】

158話　「身分証明書などの提示をお願いする場合がございます」 ページ14

「すみません、年齢確認をお願いします」
『あっ、はい』

画面に表示されたYESを指でタップした。
何気なく、当然のように押したが店員さんがじっとこっちを見てくる。

「申し訳ございません。年齢確認できるものをお持ちでしょうか？」
『………あー、自分の財布忘れたんで本人呼んできますね』

ちょっと待っててくださいと店員さんに断って外に出る。
そうだった……二十歳になったのは間違いない。それは胸を張って言える。
だが俺にはそれを証明するすべは何一つなかった。いや、時折考えてたけどこうも実害というか問題に直面すると改めて不便極まりない。寂雷さんがいなかったら病院にもまともに行けねえな。
まだ吸い終わっていない煙草を片手に怪訝な顔してこっちを見る左馬刻さん。
さて、なんて言おうかと悩んだが素直が一番。余計なごまかしをしてキレられるのは怖い。

『左馬刻さん、俺身分証なかったんで買えません』
「はぁ？何にも持ってねえなんて事そうそうね…………チッ」

言葉を中途半端なところで止めた左馬刻さんは暫くの無言の後舌打ちをした。で、まだ長かった煙草を消すと俺の頭をポンと撫でてから横を通り過ぎて店内に入って行く。……なんだ今の。呆気に取られていたが我に返って小走りで後を追った。

「あー、二箱」

お金を払っている左馬刻さんを右斜め後ろから眺める。
……年確されたの、服装のせいだって信じたい。支払いを済ませた左馬刻さんの後ろについてレジに背を向ける。手間かけてスンマセンのつもりで会釈すると、レジのお姉さんもぺこりと返してくれた。
何度目かわからないがコンビニのドアを潜る。車に乗るとばかり思っていたがそんなこともなく、スタスタと中華街の方へ足を向ける左馬刻さん。

『車じゃないんですか？』
「あァ」
『あの……なんで呼んだんですか？』
「………」

無言でこっち睨んできた。いや、もしかしたら視線を向けただけかもしれないけど。目力凄すぎ。流石はマジヤクザ。
そうこうしているうちに中華街の入口の門が見えた。おお、俺がむかーし昔にテレビで見たやつと一緒だ。

『……でかい』

立ち止まってほえーっと見上げてしまったが我関せずと先に行ってしまう白い髪を慌てて追いかけた。右斜め後ろから控えめな黄色い声が聞こえてきた。ちらりと少しだけ振り返れば女子高生が数人、こっちを見てヒソヒソと何やら話している。正確にはこっちというか左馬刻さん見て言ってるんでしょうけど。

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