34話 「一日ひとつの約束」 ページ37
俺が一人で思案に浸っていて完全に忘れちゃっていたが、目を白黒させている理鶯さん。
思わず二度見してしまった。忘れてましたと白状しちゃったも同然である。ついでに、これは不味いことになったぞって思考にも至った。
そうと決まれは話は早い。ここは得意技である一時離脱だ!!
『ぎゃふん!』
と思って立ち上がり走り出したものの二歩目でこけた。というか足を掛けられた。どうやらこの理鶯さん……只者じゃねえな!!今更だけど!!!
「説明をしてくれると嬉しいが?」
『………あはは』
本日二度目のマウントを取られました。理鶯さんに馬乗りになられて逃げれると思います?無理ですよね?多分逃げようとしたことに関して怒っているのだろう、ちょっと拗ねたような顔をして右手を握られた。はーい、もう見られちゃったし、諦めますよー。
『じゃあ、俺の話……聞いてくれるか?』
「勿論………そういえば、貴殿から話すのは初めてだな」
ああそうだった、一日にひとつ自分の話をするんだった。
今日は一つじゃ済みそうにないけどね。
『ってな感じです………まあ、異世界なんて信じられないですよね?』
苦笑いを溢しながら理鶯さんを見上げる。因みにマウンティングは話し始める前に解除していただいたので、今は胡坐で向かい合っているといった状況だ。まあ、テントの出口は理鶯さんの背後なので、脱出は不可能だよなあ……基本この人隙が無いし。
「俄かにはな……だが先ほどのを見てしまっている」
『……あっ、ち、治癒能力ですか?便利ですよね。これ無かったら三十回は死んでます』
「何故だ」
『何故って……まあ、俺は死なないですし』
「命は一つだぞ」
『分かってますよ。だから護るんじゃないですか』
「小官は貴殿の命の話をしている」
きょとん、と首を傾げてしまった。
自分の命……ないがしろにしているつもりはないが、というか海軍という立場であったり、護らなければならない側としての答えを言ったつもりだったが……んあ?
「まあいい。追々分かってくれれば」
『お、追々?』
「それに話し方が戻っている。出口をちらちら窺うのもな」
うっ、と言葉に詰まった。言われるまで気づかなかったが、確かに無意識で敬語に戻っていた。そして出口をちらちらとみているという指摘に関しては言い訳できない。なんなら理鶯さんの隙まで窺っていた。今だって正直逃げたい。思わず自分の周囲をくるりと目線だけで見渡してしまった。
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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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