6話 「教か狂か」 ページ8
「なんだこの違法マイクは」
「なんでも……望むものが一つ目の前に現れるそうで」
「ほう……副作用は」
「わかりません」
マイクをいじっていた無花果だったが、カチリと起動した。部下が何やら叫んでいるが意にも介さないと言ったように言葉をそこへ吹き込む。
「世の男どもは腐っている……力を盾に弱いものを虐げ、搾取し、さも当然のように支配する」
無花果の持つマイクから黒い霧が発生し、彼女を包み込んだ。
黒に包まれながらも彼女は口を閉じない。
「力を……男どもに引けを取らない力を持つ者を、男になど屈しない女を」
――それが貴様の望みか
「ああ」
闇の中から聞こえるしゃがれた声。
怯むことなく即答する彼女に、姿の見えぬ声は笑った。
――はっはっはっ……武力を望むか。矛盾だらけの人の子よ。……よかろう、その願い、聞き入れ給うた
「ああ」
――最高に強い女を呼び寄せてやろう。常識の通用しない、いかれた女をなぁ……呼び寄せ給へ、呼び寄せ給へ
「………」
――どうなるか、見物だなぁ
しゃがれた声は黒い霧と共に消えて行った。
後に残ったのは無花果の右手のマイクと、彼女の足元にいつの間にか転がっていた女のみ。
再びマイクを起動しようと試みたものの、そのマイクはなにも反応しなくなっていた。
「詳しく説明するとこうだ」
『……は、はあ』
訳が分からん。それが俺の感想だ。どうやらハザマの勝手で連れてこられた訳ではないらしかったが、ガチの謎案件だ。世界の秩序はどうしたんだあのバカ管理者。管理職はしっかりしとけよ会社傾くだろうが。
「副作用は何もなかったがな」
時計をちらりと見た無花果さんは立ち上がるとドアに向かって歩き出す。
俺も立ち上がりついていこうとすると止められた。どうやら着いてこいという意味ではないらしい。
「政務の時間だ。一人部下をつける、この世界の事は彼女に質問してくれ」
ドアを開けて女の人を呼び込んだ無花果さんはそう残すと颯爽と出て行った。キャリアウーマンだなあ……しつこいとかいうな。
「夢香と申します、A様」
『さ、様とか着けても良い事ないっすよ』
「いえ、無花果様はあなた様をしかるべきポストに就かせるおつもりです」
『し、然るべきポスト?』
「ええ、その為にあなたをこの世界に迎え入れたのです。A様」
『A様……って』
まさかとは思うけど……無花果様教とか流行ってないよね?この世界。むしろ無花果様狂パターンとか……なんか、うん。
7話 「俺はイケメン………なんでやねん」→←5話 「捜索願を出すこともやぶさかではない」
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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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